小田原線の新百合ヶ丘から分岐し、多摩ニュータウンを通り唐木田までを結んでいる多摩線。
小田急としては最も短い路線で、1974年に開業しました。

線内には踏切がなく、一部の回送列車がワンマン運転を行っている多摩線ですが、今後営業列車に拡大していく可能性はあるのでしょうか。

ワンマン運転や自動運転化に適している多摩線

小田急の路線としては最後に開業した多摩線は、全線が道路と立体交差となっており、踏切も設けられていません。
線形も良く、急曲線がないことから、本来は高速運転が可能な路線ですが、営業運転では100km/hまでに抑えられています。

線内を折り返し運転する各駅停車や、小田原線に直通する急行が運転されている現在の多摩線は、小田急の他の路線と同じく運転士と車掌が乗務しています。
しかし、回送列車の一部については2000年前後からワンマン運転が行われており、運転士のみが乗務する光景が見られます。

多摩線は他の小田急の路線と比べて利用者が少なく、ホームの見通しが悪い駅がないため、ワンマン運転がしやすい路線といえるでしょう。
ダイヤについても比較的余裕があり、きびきびとした運転はあまり見られません。

支線をワンマン化している鉄道会社は多いですが、多摩線は比較的都市部にあるためか、現在のところそのような動きはないようです。

将来的に多摩線の運行方法が変わる可能性

現在のところ回送列車だけに限られている多摩線のワンマン運転ですが、将来的にはその運行方法が変わる可能性はあるかもしれません。
鉄道でワンマン運転を行うためには、運転士の負担を軽減することや、安全性を確保することが求められますが、徐々に小田急でもその条件が整いつつあります。

現在の小田急では、1000形の未更新車が廃車となることで、急速に電磁直通ブレーキを使用する車両が減少しています。
これによってTASCの導入がしやすくなることから、全ての車両を電気指令式ブレーキに統一することを急いでいると考えられます。

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そして、もう一つは小田急でも設置が本格化しつつあるホームドアです。
現在は主要駅を中心に設置駅を増やしていますが、将来的にはそれ以外の駅にも設置を拡大していくことが予想されます。

TASCとホームドアが揃えば、ワンマン運転や自動運転が行いやすくなります。
多摩線は駅の数が少ないため、全駅にホームドアを設置することも難しくはなさそうです。
もちろんこれだけでワンマン運転や自動運転ができるわけではありませんが、実現する可能性は一気に高まりますし、将来的に予想される要員不足のことを考えれば、検討していないということは多分ないでしょう。

小田急で本格的にワンマン運転が開始される日がいつなのかは分かりませんが、それはきっと多摩線か小田原線の複々線区間で始まり、その日は少しずつ近付いてきているのかもしれません。

おわりに

営業列車でワンマン運転を行っていない事業者は意外と少なく、小田急は数少ないその中の一社となっています。
しかし、TASCやホームドアの導入を進めている現状からは、将来的な運行方法の変化が見えてくるような気がするのです。