小田原線の新百合ヶ丘から分岐し、現在は唐木田までを結んでいる小田急の多摩線。
開業当時は沿線の開発が進んでおらず、2両編成の車両が走るような路線でした。

利用客が増加したことや、駅がリニューアルされたことで現在は雰囲気が変わりましたが、多摩線といえばのんびりとした雰囲気、空が見えるホームを思い出す方も多いのではないでしょうか。
今回は、リニューアルされる前の、のんびりとした多摩線の駅を振り返ってみたいと思います。

多摩線開業時の駅の雰囲気

小田急多摩線は、1974年4月1日に新百合ヶ丘から小田急永山までの区間が開業し、翌年の1975年4月23日に小田急多摩センターまでが延伸開業しました。
何もない地域に路線を通したような状態であったことから、開業時は4両だった列車がしばらくして2両に減車されるぐらい、当初の乗客は少ない状態でした。

開業した当初の多摩線の駅は、五月台、栗平、黒川が6両まで、小田急永山、小田急多摩センターが10両まで停車できるホームの長さで、1988年に各停が8両化されるタイミングで、6両までの長さしかなかった駅のホームが8両分まで延長されています。
そして、特徴的だったのは各駅の上屋の短さで、五月台、栗平、黒川はホームの中央付近のみ、小田急永山がそれより少し長い程度、小田急多摩センターがホームの端部以外といった状態でした。

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多摩線といえば空が見えるホーム、そう覚えている方も多いのではないでしょうか。
駅自体も全体的に簡素な作りで、乗客があまりいないこともあって、かなりのんびりとしたムードが漂っていました。

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高架駅となっている小田急永山もかなり空が見えており、晴れた日は開放的な気分を味わうことができました。
現在完成している複々線区間にも高架駅は多くありますが、上屋がホーム全体に設置されていることから、だいぶ違った雰囲気となっています。

唐木田やはるひ野の開業と駅のリニューアル

小田急多摩センターまでの開業後はしばらく動きがなかった多摩線ですが、1990年に唐木田まで延伸されました。
京王相模原線が橋本まで延伸されたのに対して、小田急は延伸に消極的でした。

多摩線では久々の新駅となった唐木田は、他の駅とはかなり雰囲気が異なり、しっかりとした作りの駅でした。
上屋も最初から広範囲に設置されています。

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唐木田まで開業した後も、多摩線の他の駅は相変わらずの雰囲気でした。
栗平を急行停車駅とする際、ホームが10両分まで延長されましたが、上屋がない状態は続くこととなりました。

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のんびりとした雰囲気が残っていた多摩線に変化を与えるきっかけとなったのは、2004年のはるひ野駅の開業でした。
各停のみが停車する駅ながら、最初からホームは10両まで対応、全体に上屋が設置された駅となりました。

はるひ野の開業と同時期には、五月台、栗平、黒川、小田急永山、小田急多摩センターの各駅でリニューアルも始まりました。
このリニューアルの際に、上屋がホーム全体に設置され、多摩線の駅は一気に近代化が進められることとなったのです。
その後は五月台と黒川でホームが延長されるといった変化がありましたが、現在の雰囲気はリニューアルの際に確立されたといえます。

現在も小田原線や江ノ島線と比べるとのんびりはしていますが、駅がリニューアルされたことで、だいぶ垢抜けた印象に変化したように思います。

おわりに

駅のリニューアルで一気に雰囲気が変わった多摩線。
現在の近代的な駅も素敵ですが、空が見えるホームが恋しくなる時があるのは私だけでしょうか。