本厚木から各駅に停車するようになった急行や快速急行が、再び通過するようになる新松田から小田原までの区間。
近年は急行が開成に停車するようになりましたが、優等列車が通過する駅のために、新松田から小田原の区間を折り返す列車が設定されています。

以前は4両が走ることも多かったこの区間は、箱根登山線を走る列車と分離し、現在は6両で運転されています。
新松田から箱根湯本までの区間は、なぜ通して運転しなくなったのでしょうか。

4両での運転が多かった小田原線の末端区間

10年ほど前まで、小田原線の末端区間には4両の各停が走っていました。
新松田で分割併合を行っていた頃は、急行から切り離された4両が各停として下り、上りでは新松田で後ろに6両を繋ぎ、各停から急行に化ける列車が定番でした。

20180908_07

2008年に分割併合の多くが廃止となった後も4両の各停は残り、新松田から箱根湯本までの区間を走る列車が多く見られました。
新宿からの通勤型車両による直通列車はなくなってしまいましたが、小田原線の末端区間と箱根登山線内を一体化した運転は、意外と効率が良さそうに見えたものです。

しかし、やがて小田原線の末端区間から4両の列車はほぼ消滅し、新松田から小田原、小田原から箱根湯本の区間に分けられ、現在は細切れの区間運転が行われています。
ロマンスカーを利用しない限りは、小田原での乗り換えが必須となってしまっており、以前より利便性は少し下がってしまったようにも思います。

小田原線の末端区間はなぜ4両での運転をしないのか

昔は多く走っていた小田原線の末端区間と箱根登山線内を直通運転する列車ですが、なぜ細切れの区間運転をするようになったのでしょうか。
ダイヤが乱れた際の影響を最小限にしたいといった思惑もありそうですが、小田原線を6両で運転する必要が生じたというのが大きそうです。
現在の箱根登山線内は、ホームの長さの関係で4両の各駅停車しか走れないため、運転を分離するしかなかったのではないかと思われます。

20190721_01

小田原線を6両で運転する必要性は、各駅の乗降人員から見えてきます。

【2003年の1日平均乗降人員】
開成:6,998人
栢山:9,284人
富水:6,324人
蛍田:5,724人
足柄:2,789人

【2019年の1日平均乗降人員】
開成:12,350人
栢山:8,589人
富水:6,796人
蛍田:6,059人
足柄:3,893人

結果はご覧のとおりで、栢山以外は全ての駅で増加しており、開成が2倍近くまで増えていることが分かります。
他の駅は微増といった程度ですが、開成の伸びは圧倒的であり、急行が停車するようになったのも頷けます。
箱根登山線内の箱根板橋、風祭、入生田が1,000人から2,000人程度でしょうから、ここを通して4両で運転することが厳しくなったのでしょう。

その一方で、開成に急行を停車させるようになったのは気になる動きです。
開成の乗客を優等列車に流せれば、新松田から箱根湯本の区間を4両で運転できるかもしれないからです。
今後も分離した運転を続けるのか、4両に戻して一体化した運転に戻すのか、開成の急行停車駅化は何を示しているのでしょうか。

おわりに

複線区間を走る4両の列車が、ほとんど見られなくなってしまった現在の小田急線。
小田原線の末端と箱根登山線を合わせた区間は、ホームの長さの制限で苦労しているような印象ですね。