東京メトロ千代田線への直通用車両として、2007年に登場した小田急4000形。
現在はJR東日本の常磐緩行線にも直通運転を行っており、広範囲で見ることができる車両となりました。

この4000形は2代目で、かつては小田急顔の旧4000形が在籍していましたが、意外な共通点があります。
以前にも共通点に関して書きましたが、今回は製造メーカーの共通点をまとめてみたいと思います。

東急車輛製造が多くを製造した4000形

JR東日本のE233系をベースとして設計された4000形ですが、当初から常磐緩行線への直通運転を想定していたことが、その経緯からもうかがえます。
その影響からか、製造メーカーにも偏りが見られ、これは小田急の通勤型車両としては比較的珍しいケースとなっています。

4000形の編成ごとの製造メーカーは、以下のとおりです。

4051F:東急車輛製造
4052F:東急車輛製造
4053F:東急車輛製造
4054F:東急車輛製造
5055F:東急車輛製造
4056F:東日本旅客鉄道(新津車両製作所)
4057F:東急車輛製造
4058F:東急車輛製造
4059F:東急車輛製造
4060F:東急車輛製造
4061F:東急車輛製造
4062F:東急車輛製造
4063F:東日本旅客鉄道(新津車両製作所)・東急車輛製造
4064F:東急車輛製造
4065F:総合車両製作所
4066F:総合車両製作所

このように、全ての編成が東急車輛製造やJR東日本に関連するメーカーで製造されており、小田急ではとても珍しいケースとなっています。

20210307_02

面白いのは4063Fで、編成内で製造メーカーが異なる車両が混在しています。
新宿方の6両がJR東日本の新津車両製作所、小田原方の4両が東急車輛製造で、他の編成には見られない特徴です。

新旧4000形に見られる共通点

以前の記事で、新旧4000形の共通点について書いたことがあります。
現在活躍する4000形にもディスクブレーキが採用されており、意外な共通点となっています。



今回まとめている製造メーカーについても、新旧の4000形では共通点があります。
旧4000形は組み替えが多かったため、編成ごとではなく各メーカーが何両を製造したのかをまとめると、以下のとおりとなります。

東急車輛製造:72両
日本車輌製造:11両
川崎車輛・川崎重工業:9両

比較すれば一目瞭然で、東急車輛製造への偏りが見られます。
これは、旧4000形がパイオニア台車を履いていることや、流用する機器を運ぶには、近場の製造メーカーのほうが都合が良かったためでしょう。

一方で、同時期に製造されていた2600形や旧5000形には東急車輛製造が少なく、形式によって分けられていたことが見えてきます。
同様の傾向は現在も見られ、ロマンスカーを日本車輌製造に集中させていることや、5000形を川崎重工業で多めに製造しています。

おわりに

新旧の4000形に見られる製造メーカーの偏りは、理由があってそうなっていたことが分かります。
今後新たな形式が登場する際にも、同様のケースが発生するかもしれませんね。