箱根登山線内を行ったり来たり、小田急1000形に存在するレーティッシュカラーの4編成。
1058Fから1061Fまでの4編成が該当し、他の編成がこの外装にされたことはありません。

1000形の4両は、最も多い時期には19編成が在籍していましたが、なぜこの4編成が選ばれたのでしょうか。
今回はその理由を考えてみたいと思います。

3編成からスタートしたレーティッシュカラー

2008年3月15日のダイヤ改正から、箱根登山線内は4両で運転されるようになりました。
それまでは主に急行の6両が走っていましたが、新松田や小田原と箱根湯本の区間を往復する各停となったことで、一気にのんびりとした雰囲気へと変わっています。

このタイミングでは、5000形、8000形、1000形の各形式が充当されており、今よりもだいぶ車両のバリエーションがありました。
しかし、2009年のダイヤ改正に合わせて、1000形の1059Fから1061Fの外装がレーティッシュカラーへと変更され、この運用の専用編成となりました。

それからしばらくは、この1000形の3編成を中心としつつ、他の4両を組み合わせて運用されますが、2012年に1058Fを加えて4編成とし、それ以降は基本的にレーティッシュカラーの車両だけで運用されるようになっています。

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こうして4編成が揃いましたが、よく分からないのがこれらの編成が選ばれた理由です。
番号の先頭からでも末尾からでもなく、中途半端な位置の4編成が選ばれています。

レーティッシュカラーに選ばれた編成の謎

2009年から走るようになったレーティッシュカラーの1000形は、編成を変更することなく今日に至っています。
なぜこれらの編成なのか、その理由を考えてみましょう。

まずは他の編成との仕様差です。
1000形の4両は、1058Fまでと1059F以降で補助電源装置(SIV)の出力が異なります。
具体的には、1058Fまでが140kVA、1059F以降は90kVAとなっています。
箱根登山線内の変電所の容量を考慮した可能性はありますが、後に加わったのが1058Fであることから、この部分の説明ができません。

編成ごとの走行距離の差も気になります。
東京メトロ千代田線への直通運転に対応していたかどうかで、編成ごとに走行距離のばらつきがあります。
主に各停が中心となる小田急線内の運用に対して、地下鉄を走る場合は優等列車となることから、走行距離が異なってきます。
しかし、比較的長い期間直通運用に使われたのは1061Fのみであり、あまり関係なさそうです。

最後に検査の時期を見てみましょう。
外装を変更した時期に検査が行われていれば、それが理由となりそうです。

1058F:2010年10月と2014年8月
1059F:2007年6月と2010年12月
1060F:2007年7月と2011年1月
1061F:2008年3月と2012年1月

全く関係なさそうに見えますが、1058Fが2012年、それ以外の編成が2009年に外装を変更していますから、検査のタイミングと重ならない編成が選ばれたというのは考えられそうです。

このように色々と考えてみましたが、結局のところはよく分かりませんでした。
検査のタイミングと重ならないというのが、可能性としては一番高いかもしれません。

おわりに

1000形の一部が廃車になったことによって、これらの4編成も今後の去就が心配されます。
この先どのような変化があるのか、今から気になるところですね。