10両固定編成の1000形で最後の未更新車となっていた1092Fが入場し、10両の貫通編成では見ることができなくなった未更新車。
小田急で初めて10両固定編成として登場した4編成は、次のステージへと入りました。

今回は、一つの節目を迎えることとなった10両固定編成の1000形について、現在までの思い出を振り返ってみたいと思います。

小田急で初めての10両固定編成

1000形の10両固定編成は、1992年の初めに1091Fが1編成だけ登場しました。
ワイドドア車が増備される合間での登場で、小田急で初めての10両固定編成となりました。

営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線への直通運用に限定して使用することで、まだ分割併合が日常的に行われていた当時において、10両の貫通編成とすることが可能となったものです。
その後、1992年の終わりから1993年にかけて1092Fから1094Fの3編成が登場し、10両固定編成は合計4編成となりました。

分割併合が盛んな時代にあえて10両固定編成としたのには理由があり、中間に入る先頭車をなくすことで、収容力を少しでもアップさせようとしたのです。



中間に先頭車が入っていることが当たり前だった当時の小田急では、綺麗に揃った10両編成がとにかく珍しく、見かけると嬉しくなる存在でした。
一方では、千代田線に乗り入れていることで、見かける機会が少ない編成でもあり、小田急線内ではそう簡単に乗れる車両でもありませんでした。



登場からしばらくは準急を中心に活躍、その後は多摩急行での運用が中心となり、新百合ヶ丘から先にはあまり顔を出さなくなりました。
基本的には代々木上原から地下に入ってしまうため、昔は新宿で見ることも稀な車両でした。

千代田線乗り入れからの撤退とリニューアル

多摩急行を中心に活躍していた10両固定編成ですが、2007年度に大きな変化が生じます。
4000形に千代田線直通の役割を譲り、小田急線内専用の編成となるのです。

当初は4両と6両を繋いだ編成が4000形と交代し、10両固定編成は引き続き使用されました。
その後4000形が追加で増備され、2010年には全編成が小田急線内専用の編成となっています。



通勤型車両による分割併合がなくなり、小田急線内を走り回れるようになった10両固定編成は、優等列車を中心に大活躍することとなります。
今まではあまり走る機会がなかった区間でも見られるようになり、身近な存在として親しまれるようになりました。

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4編成の未更新車が揃って活躍する期間はあまり長く続かず、2017年度に1091F、2018年度に1093F、2019年度に1094Fがリニューアルされ、それ以降は1092Fだけが未更新で残っていました。
近年は各駅停車での活躍も始まり、以前は見られなかった姿を見ることができるようにもなりました。

たった1編成の未更新車として活躍してきた1092Fでしたが、ついにリニューアルのために運用を離脱し、10両固定編成の未更新車による営業運転は終了したのです。
10両固定編成の登場から、約29年後のことでした。

おわりに

時代の変化に合わせて、使われ方が変化してきた1000形の10両固定編成。
小田急で10両固定編成が当たり前となるきっかけには、この4編成の存在があったといえますね。