小田急ロマンスカーの基礎を築き上げ、名車として語り継がれている3000形(SE)。
高速運転を志向したこの車両の登場は、後々の新幹線の登場にも繋がっていきました。

SEには補助警報が搭載されており、高速運転時の踏切事故等を防止するため、走行中に鳴らすことで列車の接近を伝えていました。
晩年はあまり鳴らす機会がありませんでしたが、音程が違う編成が存在するという面白い特徴がありました。

SEからRSEまで搭載された補助警報

現在活躍するVSE、MSE、GSEの各形式には、駅への進入や発車時に鳴らすミュージックホーンが搭載されています。
ミュージックホーンは演出用の装備ですが、そのルーツはSEからRSEまで搭載されていた補助警報です。

高速走行を行うSEが登場した当時、小田急にはまだ遮断機がない踏切が残っていました。
そこで、音を鳴らしながら走行することで列車の接近を知らせ、事故を防止しようと考えたのです。



このような経緯でSEから搭載された補助警報によって、ロマンスカーはオルゴール電車とも呼ばれ、乗客から親しまれていたのです。
しかし、沿線の宅地化が進むと、補助警報は徐々に騒音として問題視されるようになり、1980年頃には走行中に鳴らすことがほとんどなくなってしまいました。

SEも晩年は鳴らす機会がほとんどありませんでしたが、引退が近付くと鳴らす機会が増え、懐かしい音色を沿線に響かせて走ることとなります。

音程が異なる編成が存在したSEの補助警報

再び走行中に鳴らされた補助警報ですが、よく聞くと音程が異なっている編成がいました。
補助警報は、現在のミュージックホーンでもお馴染みのあのメロディーでしたが、それとは明らかに音程が違うのです。

その音は本来の音程から完全に外れてしまっており、音痴な補助警報を鳴らして走っているような状態でした。

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音痴な編成が生まれた理由は定かではありませんが、機器の経年劣化に伴うものだと考えられます。
そもそも晩年は常用するものではなくなっており、音が聞こえれば本来の役目は果たせますから、調整や修理もされなかったのかもしれません。

どこか間の抜けた音を鳴らして走り去るSE、写真からは分からないそんな光景が晩年には展開されていたのです。
どの編成だったのか等、詳細を色々と調べてみましたが、今回記事にする段階では明らかにすることができませんでした。
今後も継続して調査してみたいと思います。

おわりに

用途は変化しましたが、現在もミュージックホーンとして受け継がれているロマンスカーの補助警報。
現在の音色も素敵ですが、昔の素朴な音には違った良さがありましたね。