代々木上原から登戸まで、私鉄としては比較的大規模な複々線区間がある小田急小田原線。
複々線化を進めるため、平成の時代はずっと工事をしているような状況でしたが、2018年に全区間が完成しました。

小田急の複々線といえば、外側が緩行線、内側が急行線の高架というのが定番ですが、一部には地下の区間もあります。
そして、複々線区間の始まりである代々木上原では、外側が急行線、内側が緩行線となっているのです。

全長11.7kmの立派な複々線区間

起点である新宿を出発した小田急の線路は、住宅密集地の間を進み、東京メトロ千代田線との乗り換え駅である代々木上原へと繋がります。
高架駅の代々木上原では内側に千代田線のホームがあり、階段を使わずに乗り換えができるようになっています。

そして、ここから先が複々線区間の始まりで、千代田線も合流して列車の本数が増加し、見ていて楽しい区間となるのです。

代々木上原から先は地下へと一気に下り、東北沢から世田谷代田までは地下駅となっています。
次の梅ヶ丘から先はしばらく高架駅となりますが、成城学園前は再び地下駅となっており、その先は複々線区間の終わりである登戸まで高架駅が続きます。

アップダウンを繰り返し、高架駅と地下駅が混在している小田急の複々線は、目まぐるしく景色が変化する楽しい区間です。

緩行線と急行線が入れ替わる不思議な区間

鉄道の複々線には色々な分類がありますが、小田急の場合は方向別複々線を採用しています。
外側に緩行線、内側に急行線を配置するのが基本のパターンで、駅の前後にカーブを必要としないように配慮されています。
これは小田急の開業時からの特徴の一つであり、高速運転を志向していた名残です。



さて、あえて基本のパターンと書きましたが、外側が急行線、内側が緩行線となっている区間もあります。
代々木上原から梅ヶ丘の間にある地下区間が該当し、一部がそのような配置となっています。

千代田線と合流する代々木上原では、外側に小田急小田原線、内側に東京メトロ千代田線が通っており、外側が急行線に、内側が緩行線に直接繋がっています。
その先の高架区間とは配置が逆の状態で、小田急の複々線はスタートするのです。

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東北沢の段階ではまだこの配置ですが、次の下北沢では状況が一変し、2層構造の地下駅となります。
地下1階が緩行線、地下2階が急行線となっており、東北沢から下北沢の区間で急行線はさらに地下深くへと潜っているのです。

下北沢から世田谷代田にかけては逆のパターンとなりますが、ここで緩行線と急行線の配置が入れ替わり、外側が緩行線、内側が急行線という小田急の基本配置へと変わり、梅ヶ丘へと繋がっています。
地下を走っているので通常は気付きませんが、いつの間にか外側と内側が入れ替わるという変化が起きている面白い区間なのです。

おわりに

複々線が完成してから数年が経過し、徐々にその風景が当たり前となってきた小田急小田原線。
課題がないとはいえない状況ですが、今後この設備をどう活用していくのかが楽しみですね。