ゴールデンウィーク前の恒例行事となっている、小田急の鉄道事業設備投資計画の発表。
昨年は新型コロナウイルスの影響で遅れましたが、今年は例年どおりのタイミングで4月28日に発表されました。

今回は、ニュースリリースの内容から読み取れることを、深掘りしつつまとめたいと思います。

5000形の増備と1000形のリニューアルから読み取れること

2021年度の車両の動きは、まとめると以下のとおりとなっています。

・5000形を4編成増備
・1000形を2編成リニューアル
・30000形のリニューアルは行わない

まずは5000形の増備ですが、両数についての記載はないものの、既に5057Fの目撃情報があることから、10両を4編成増備すると考えて良さそうです。
先日5056Fが営業運転を開始していますが、これは2021年度の増備分ですから、5056F、5057F、5058F、5059Fが順次登場するものと思われます。

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これで5000形は9編成となりますが、8000形の界磁チョッパ車、1000形の1081Fとワイドドア車、これらを足した編成数と一致します。
しかし、これに8000形の8264Fを加えると10編成となってしまうため、想定外の事故廃車であることも含めて、少々読みにくい部分です。

一方で、1000形の4両で廃車となった編成、未更新のままとなっている編成にも興味深い点があります。
これらの編成をまとめると、1051F、1053F、1054F、1058F、1059F、1060F、1061F、1062F、1068Fの9編成です。
1081Fの分を8両から10両への置き換えとして、それ以外で4両と6両の組み合わせで9編成とすると、合計は10編成となります。

ここで関係してくるのが、1000形のリニューアルです。
両数の記載はなく、2編成とだけ書かれていますが、2020年度は1編成と発表されており、これは1065Fが該当しますから、先日営業運転を開始した1097Fは2021年度分ということになります。
つまり、もう1編成は自動的に1092Fと決まりますから、2021年度のリニューアルは20両で間違いないでしょう。

これらの状況から分かることをまとめると、以下のことが読み取れます。

・5000形が5059Fまで登場
・1000形のリニューアルは1092Fと1097Fが対象
・確実に置き換えが必要な車両に対して5000形が1編成足りない

気になるのは5000形が1編成足りないことですが、2022年度早々に増備されるか、運用数が調整されるかのどちらかでしょう。
4両の1000形は全てが廃車になると考えられますが、2022年度以降もリニューアルが行われる可能性は僅かに残ります。

30000形のリニューアルが行われないことも気になる点です。
運用上の支障がないための先送り、リニューアルを中止しての置き換え、運用数の削減による廃車のいずれかだとは思われますが、現時点ではそこまで読み取ることはできません。

ホームドアの設置駅と今後の予定から読み取れること

2021年度は、新宿と登戸にホームドアの設置が予定されています。
どちらも既に一部のホームでの使用が開始されており、新たに設置される駅はないということが分かります。

つまり、2021年度については、ワイドドア車が新たに運用できなくなる区間はないということです。
車両の動きと合わせて読み取ると、2021年度内にワイドドア車の淘汰を進める想定であることが見えてきます。
2022年度以降には、町田、相模大野、海老名、本厚木、中央林間、大和の駅名が並んでいますから、ワイドドア車の活躍が見られるのは長くても1年程度と考えられますね。

ホームドアで気になることはもう一つあります。
それは小田急で最後の連接車となった50000形の存在です。
他の車両と扉の位置が合わせられないこの車両を、2022年度以降でどう走らせていくのか、それがまだ見えてきません。
30000形が2編成だけ未更新で残っていることも含めて、気にせずにはいられませんね。

その他の内容から読み取れること

車両に関連しないこととしては、災害に備えた改修や補強が行われます。
また、中央林間に東口の改札が新設されます

これから何が読み取れるかというと、2021年度の設備投資は最低限のことだけ、しなければいけないことに限定されているという点です。
新型コロナウイルスによる業績への影響は、2021年度も設備投資の抑制として表れています。

各年度ごとの投資額を見れば、それは一目瞭然です。

2017年度:336億円
2018年度:336億円
2019年度:327億円
2020年度:265億円
2021年度:254億円

これについては、あまり多くは語りません。
一人の小田急ファンとして、1円でも多く小田急の収益に貢献することを考えていきたいと思います。

おわりに

2021年度の設備投資は、進めなければいけないことに絞られており、苦しい状況であることが読み取れます。
今後の利用者数は、以前の水準までは回復しないともいわれていることから、2022年度以降の動きも含めて気になるところですね。