ハイデッカーを採用し、小田急ロマンスカーのバリエーションを広げることとなった10000形と20000形。
世の中のバリアフリー化が進むと、特徴であるハイデッカーが問題視されるようになり、先輩の7000形よりも先に引退しました。

この2形式はハイデッカー以外にも特徴があり、小田急では珍しく下枠交差型のパンタグラフが採用されていました。
なぜこの2形式には下枠交差型のパンタグラフが採用されたのでしょうか。

小田急で下枠交差型のパンタグラフを採用した車両

関西の私鉄や、関東では東武が一時期積極的に採用した下枠交差型のパンタグラフですが、小田急での採用例は多くありません。
営業用の車両では、今回の記事の主役である10000形と20000形のみとなっています。

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ハイデッカーという共通点があるこれらの2形式のみが、同じパンタグラフを採用しているのは興味深いところです。
引退時までシングルアーム式に交換されることもありませんでした。

そして、忘れてはいけない存在として、事業用車両のクヤ31形があります。
測定用のパンタグラフとして搭載されており、現役の車両では唯一の存在となっています。

10000形と20000形が下枠交差型のパンタグラフを採用した理由

ハイデッカーという共通点があるこの2形式は、なぜ下枠交差型のパンタグラフを採用したのでしょうか。
意味もなく採用はしないでしょうから、何らかの理由がありそうです。

下枠交差型には、小型化や軽量化ができるという特徴があります。
冷房装置の搭載によって屋根上のスペースが減ってしまったため、下枠交差型を採用したケースもあります。

10000形や20000形は、屋根上に冷房装置を搭載しておらず、スペースにも余裕があるように見えますから、小型化が理由ではなさそうです。
もう一つのメリットである、軽量化が理由なのでしょうか。



以前公開した記事のとおり、10000形と20000形は重い車両なのです。
ハイデッカーの採用等が、重量の増加には関係していると考えられますが、下枠交差型を搭載した理由は軽量化のためという可能性が高そうです。
10000形は座席のリクライニングも省略しており、重量の増加を少しでも避けたいといった事情が下枠交差型の採用へと繋がったのかもしれませんね。

おわりに

数あるロマンスカーの中でも、意外と特徴的な部分が多かった10000形と20000形。
生まれた時代が悪かったのか、短命に終わってしまったのは残念でしたね。