小田急で最後の吊り掛け駆動車となり、独特な走行音を響かせながら快走した4000形。
1985年からは2400形の主電動機を流用して高性能化が行われ、最大の特徴であった走行音は過去のものとなりました。

高性能車への改造は、冷房化や先頭車の中間車化も含む大規模なものでしたが、約4年で全92両の改造を終えました。
4000形の高性能化は、なぜこんなに短期間で終えることができたのでしょうか。

1985年から開始された4000形の高性能化

吊り掛け駆動が特徴だった4000形は、1985年から高性能化と冷房化をセットにした改造が始まりました。
他の形式とは異なる3両と5両という編成も、この改造で4両と6両に改められ、かなり大掛かりな内容となっています。

この時期は、2400形の廃車と8000形の増備も同時に行われており、4000形の高性能化には2400形の廃車によって捻出された主電動機が流用されています。
この時期の車両の動きは、以下の記事もご覧下さい。



4000形には、以下のような改造が主に行われました。

・2400形の主電動機を流用した高性能化
・冷房化
・先頭車の中間車化を伴う編成組み替え
・側面への表示装置の新設
・外板の補修
・車内の各種改良

細かい点では他にも色々とありますが、大きなものではこのぐらいでしょう。
これだけの改造を、約4年で4000形は終えたということなのです。
しかも、同時期には2600形の車体修理も行われていました。

東急車輛製造で行われた4000形の改造

4000形の改造が短期間で終えられたのには、東急車輛製造で工事を行ったという背景があります。
自社では2600形の車体修理を、東急車輛製造では4000形の改造を行うことで、同時期に多くの車両を改造することを可能としていたのです。
この時期は3100形の車体修理も日本車輌製造で行われており、短期間で多くの車両が改造されていたことになります。

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4000形の場合には、冷房化にも短期間で終えるための工夫がありました。
2600形や5000形の冷房化においては、ダクトを天井に内蔵して改造が行われていますが、4000形では工事を簡略化するため、車内にも冷房のキセを取り付け、そこから直接冷風を吹き出す方式とされました。
天井の改造が最低限で済み、これも短期間での改造を実現することに寄与しています。

冷房車となった4000形でしたが、最小限の改造で済まされた天井には非冷房車の面影があり、扇風機が動作する光景は懐かしさすら感じられました。

おわりに

ロマンスカーのリニューアルは、現在も車両メーカーで行うことが通例となっています。
通勤型車両は1000形のワイドドア車の改造が行われた程度となっており、今後はなかなかないかもしれませんね。