代々木上原から登戸までが複々線、登戸から向ヶ丘遊園までは上りだけが2線となっている小田急小田原線。
その先は複線となっていますが、多摩線が分岐する新百合ヶ丘で列車の本数が増えることから、この区間がボトルネックとなっています。

新百合ヶ丘までが複々線化されると、複々線化の効果がかなり高まる状態といえますが、今後実現する可能性はあるのでしょうか。

複々線化の計画が存在する向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘までの区間

用地の取得等は行われていませんが、向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘までの区間にも複々線化の計画があります。
交通政策審議会の答申第198号(2016年)にもこの件が盛り込まれており、小田急を利用する身としては実現することを夢見てしまいます。

しかし、この区間に乗ってみれば分かるとおり、複々線化をするような用地があるようには見えません。
丘陵地帯でもあることから、東京都内のように高架複々線化は簡単ではなさそうです。

この区間は神奈川県の川崎市内を通っていますが、市との話し合い自体は行われています。
現状は地下の二層式が有力となっているようで、並行する道路である世田谷町田線の拡幅等と合わせて考えられているようです。
小田急の線路を地下に移し、空いた土地を利用して世田谷町田線を拡幅すれば、現在生じているこのエリアの問題は色々と改善できると考えられます。

しかし、具体的な動きがあるのかというと、そこまでの状況にはなっていません。
川崎市の北部地域は、交通インフラの整備が遅れている状況であり、電車も車も渋滞している状況なのです。

現実的に複々線化は可能なのか

具体的な動きがないことからも分かるとおり、現実的には難しい部分が多いと考えられます。
最大の理由は費用対効果の面であることは間違いなく、小田急の視点で考えれば、投資した金額に対する効果は期待できないでしょう。
この区間の複々線化は、川崎市側の本気度次第という要素が強そうです。

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新百合ヶ丘は将来的な複々線化を考慮しており、新宿方の引き上げ線がその証です。
地下の二層式となれば、新百合ヶ丘駅自体が地下化されるか、この付近から地下に潜るかのどちらかとなるのでしょう。

さて、実現する可能性はかなり低いと考えられるこの区間の複々線化ですが、プラスに作用する要素もあります。
それが横浜市営地下鉄の新百合ヶ丘への乗り入れと、多摩線の延伸です。
これらが実現した場合、この区間の輸送力は限界に達することが見込まれるため、複々線化をしないとそもそも厳しくなる面があると思われます。

少子高齢化等の要素も絡んでくることから簡単ではありませんが、絡み合う様々な要素は以前よりも複々線化をしなければいけない状況を生み出しつつあります。
用地の問題は、地下の二層式とすることである程度は解消できそうですから、川崎市の本気度と将来的に見込まれる輸送需要次第ということになりそうですね。

おわりに

完全に素人の感覚であり、考察が甘い部分も多々あるとは思いますが、色々と調べてみると、以前よりは実現の可能性が上がっている印象を受けました。
仮に実現する場合には相当な年月が必要だと考えられますが、どうなっていくのか気になるところですね。