腐食に強く、近年の鉄道車両では当たり前となったステンレスやアルミニウムの車体。
小田急では1987年に登場した1000形で初めてステンレスの車体を採用し、通勤型車両は今日に至るまで全ての車両がステンレスの車体となっています。

他社と比べて比較的遅めの採用だった小田急ですが、どれぐらい後だったのでしょうか。

1000形で初めて採用されたステンレスの車体

1987年に登場した1000形は、小田急で初めてとなるオールステンレスの車体を採用しました。
それまでケイプアイボリーに塗装されていた車体は無塗装となり、従来の車両と同様にロイヤルブルーの帯が巻かれています。

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ステンレスの車体を採用しつつも、1000形は外観にかなりこだわっており、他社の車両と比べても整ったデザインとなっています。



小田急がステンレスの車両を導入するのが遅くなった理由は分かりませんが、外観の美しさを求めていたという可能性はあるのかもしれません。
初期のステンレス車体はコルゲートが目立っており、お世辞にも美しいとはいえませんでした。

ステンレスの車体には大人の事情も色々とあったようですから、そういった部分も関係していた可能性がありそうですが、美しさへのこだわりというのは小田急ならありえそうです。

関東の私鉄がステンレスやアルミの車両を導入した時期

ステンレスの車体を導入するのが遅かった小田急ですが、どれぐらい遅かったのでしょうか。
いつものように、関東の他の私鉄と比べてみたいと思います。

対象はステンレスかアルミの車体を採用した車両として、セミステンレスの車両も含んでいます。
導入が早かった順に並べると、以下のとおりとなります。

東急:1958年(5200系)
東京メトロ:1961年(3000系)
京王:1962年(3000系)
相鉄:1967年(6000系)
京成:1972年(3500形)
東武:1981年(9000系)
小田急:1987年(1000形)
京急:1988年(1500形)
西武:1992年(6000系)

結果はご覧のとおりで、小田急はやはり導入が遅いほうでした。
京急はほぼ同時期ですが、西武だけが唯一1990年代に入ってからとなっています。

普通鋼製の車体である8000形が多く残っているのも、ステンレス車体の導入が遅かったことを物語っているといえます。
一方で、8000形は一部にステンレスを使用しており、小田急が外観を重視していたことを感じさせます。
軽量ステンレス車体が登場し、外観のイメージが改善されたことが、1000形を登場させるきっかけとなったのかもしれませんね。

おわりに

ステンレスの車体を採用するのが遅かった小田急ですが、普通鋼製の車体は既に8000形と30000形のみとなってしまいました。
8000形の廃車が本格化する時期もそう遠くはないでしょうから、一つの時代が終わろうとしているのでしょうね。