小田急多摩線の新百合ヶ丘寄りに位置し、開業時からある五月台、栗平、黒川の3駅。
現在は栗平に優等列車が停車するようになりましたが、昔はどの駅ものんびりとしたムードが漂う駅でした。

今回はこれらの3駅をピックアップし、どのぐらい利用者が増えたのかを振り返ってみたいと思います。

多摩線の開業に合わせて設置された3駅

五月台から黒川までの3駅は、1974年6月1日の多摩線の開業に合わせて設置されました。
開業当初の多摩線は小田急永山までとなっており、小田急多摩センターまで延伸するのは翌年のことでした。

小田急永山や小田急多摩センターが比較的大きな駅なのに対し、これらの3駅はホームの長さも当初は6両分しかなく、多摩線内の中では小規模な駅でした。



この3駅の中では、栗平のみが将来的な駅の拡張を視野に入れて設計されており、どの駅ものんびりとした雰囲気ではあるものの、昔から少しだけ栄えていました。
五月台周辺は新百合ヶ丘や柿生を利用する乗客も多く、黒川は今以上に緑が豊かであり、近くに京王の若葉台もありますから、栗平が先に栄えるのは当然だったのかもしれません。

元々3駅の中では利用者が多かった栗平は、2002年のダイヤ改正で多摩急行が停車するようになり、他の駅との差が明確となりました。
多摩急行の登場に合わせてホームの長さは10両分に延長され、他の駅より少しだけ立派になったのです。

各駅の利用者数はどれぐらい増えたのか

これらの3駅の利用者数がどのように増えてきたのか、1日平均乗降人員を比較してみたいと思います。
年度の間隔が揃っていませんが、ご容赦下さい。
括弧内は、先に記載した年度からの伸び率です。

【1979年】
五月台:775人
栗平:5,053人
黒川:586人

【1987年】
五月台:3,587人(463%)
栗平:9,618人(190%)
黒川:1,151人(196%)

【2003年】
五月台:8,245人(230%)
栗平:18,479人(192%)
黒川:5,907人(513%)

【2019年】
五月台:10,192人(124%)
栗平:24,606人(133%)
黒川:8,731人(148%)

【全体の伸び率】
五月台:1315%
栗平:487%
黒川:1490%

意外と面白い結果ではないでしょうか。
元々栄えていた栗平が、全体の伸び率では最下位となっています。

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五月台は1980年代から利用者が増加傾向となっており、近年は鈍化傾向にあることが分かります。
一方で、黒川は1990年代頃から一気に利用者が増えていますが、これは周辺に川崎市のマイコンシティができた影響でしょう。

伸び率としては最下位でしたが、栗平が他の駅の倍以上の利用者を抱えている状況となっており、圧倒的であることに変わりはありません。
しかし、五月台や黒川が大きく伸びたことも分かりますね。

おわりに

多摩線で神奈川県内にある3駅は、開業時と比較して大きく発展しました。
それでもどこかのんびりとした雰囲気が残っており、小田原線の駅との違いを感じるのが面白いですね。