1987年から1993年にかけて、合計196両が製造された小田急1000形。
小田急では初となるオールステンレスの車体を採用し、その後登場する各形式へと発展していくこととなりました。

1000形は両数の割に編成バリエーションが多いことが特徴で、今回から何回かに分けて各編成のバリエーションを紹介していきたいと思います。
初回である今回は、1000形の中で最も多く増備された4両編成を紹介します。

4両編成の概要

1987年から1990年にかけて、1051Fから1069Fまでの19編成が登場しました。
最も編成数が多いのがこのタイプで、1000形といえば4両のこれらの編成をイメージする方も多いのではないでしょうか。

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4両は1000形で最初に登場した編成で、2M2Tの経済的な編成であることは従来の車両と変わりませんが、VVVFインバーター制御と大容量の主電動機を採用し、従来の車両より性能が大幅に向上しています。
後に優等列車で使用される機会は増加しますが、当初は各停や千代田線に乗り入れることを前提とした性能だったといえます。

各編成の製造区分

1000形の中では最も編成数が多いこともあり、製造区分は4次にわたっています。
各編成ごとの製造区分は以下のとおりです。

1051F:1次車
1052F:1次車
1053F:1次車
1054F:1次車
1055F:1次車
1056F:1次車
1057F:1次車
1058F:1次車
1059F:2次車
1060F:2次車
1061F:2次車
1062F:3次車
1063F:3次車
1064F:3次車
1065F:3次車
1066F:3次車
1067F:4次車
1068F:4次車
1069F:4次車

1次車は近郊区間の各停を8両化するために登場した編成で、登場時は2編成を組み合わせた8両で使われました。
登場当初は運用が限られており、ラッシュ時を中心に使われていましたが、土曜急行でもその姿を見ることができました。
外見上では、ワイパーが銀であることが特徴でしたが、後に他の編成と同様に黒くなっています。

2次車は営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線への乗り入れ用として登場し、ATCやIRアンテナ等が装備されました。
このグループから、補助電源装置の出力が90kVAへと変更されています。
3次車は2次車と基本的には同仕様で、地下鉄直通用の編成となっていました。

4次車は乗り入れ非対応の編成に戻り、1次車に近い仕様となりました。
このグループは、新宿方先頭車の屋根上に設けられていた、JR東日本のアンテナを取り付けるための台座が省略されているという特徴があります。

特徴のある編成

登場時には外見の違いがほとんどなかった4両ですが、その後特徴が生まれた編成があります。

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まずはトップナンバーの1051Fです。
4両で唯一クヤ31形の牽引に対応している編成で、小田原方先頭車のスカートに特徴があります。

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1058Fから1061Fまでの4編成は、箱根登山線の小田原から箱根湯本の区間を中心として走行しており、レーティッシュカラーとされています。
外見が全く違うカラーリングとされているため、1000形の中では最も目立つ編成といえるでしょう。

その他には、リニューアルが行われた編成や、10両化によって4両ではなくなってしまった編成、残念ながら廃車となってしまった編成もあります。

おわりに

最も編成数が多かった4両ですが、長編成化が進む中で余剰気味となり、編成替えや廃車が進められることとなりました。
各停の8両化を進めたこれらの編成は、変化の時期を迎えているようです。