合計196両が製造され、3000形に抜かれるまでは小田急で最大の勢力を誇った1000形。
小田急では初となるオールステンレスの車体や、VVVFインバーター制御が採用され、その後登場する車両の基礎となりました。

大所帯の1000形は、両数に対して編成のバリエーションが豊富で、趣味的にとても面白い形式です。
前回の4両に続き、今回は6両編成のバリエーションを紹介したいと思います。

6両編成の概要

1988年の終わりから1990年にかけて、1251Fから1256Fまでの6編成が登場しました。
19編成が登場した4両編成に対して編成数が少なく、全編成が営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線への乗り入れ用として登場しています。

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6両は4両の2次車と同時期に登場し、併結して10両で千代田線に乗り入れるための編成でした。
5000形や8000形とは異なり、3M3Tの経済的な編成を実現していることが特徴です。

基本的には6編成全てが千代田線への直通運用を中心に使われましたが、一時期1251Fと1252Fは乗り入れ用の機器が外されていました。
地下鉄線内を走行することを前提とした性能は、小田急線内でも重宝されました。

各編成の製造区分

編成数が少ないこともあり、製造区分も多くはありません。
各編成ごとの製造区分は以下のとおりです。

1251F:1次車
1252F:1次車
1253F:1次車
1254F:2次車
1255F:2次車
1256F:2次車

1次車は千代田線への乗り入れ車両を9000形から1000形に置き換えるために登場し、3運用が1000形、2運用が9000形という体制になりました。
実質的に直通専用編成の位置付けとなっています。

2次車は9000形を千代田線直通運用から撤退させるために増備された編成で、これらの編成が登場したことで直通列車は1000形に統一されました。
基本的な仕様は1次車と同様で、大きな違いはありません。

特徴のある編成

編成数が少ないこともあり、編成ごとの特徴も基本的にはありません。

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唯一分かりやすい違いがあるのは1253Fで、側面表示装置の窓が通常よりも丸みを帯びており、遠目にも分かる特徴となっています。

1252F、1255F、1256Fは他の編成と組み替えられて10両化され、現在は3編成が未更新のまま残っています。

おわりに

4両に比べて編成数が少なかった6両ですが、千代田線との直通列車を近代化する重要な役割を担って登場した編成だったといえるでしょう。
編成数が少ないことが災いし、未更新のままで残っている編成があり、今後の動向が心配されます。