一部の編成が廃車となり、最盛期の196両から減少が続く小田急1000形。
引退を早めてしまった一因には、編成のバリエーションが多いという事情があると考えられます。

残念な結果に繋がってしまったともいえる1000形のバリエーションの豊富さを、この記事では紹介していきます。
今回は8両と10両の編成をまとめて紹介したいと思います。

8・10両編成の概要

1992年から1993年にかけて登場した、1000形の最終グループにあたる編成です。
内訳は8両が1編成、10両が4編成で、8両は10両からデハとサハを1両ずつ抜いた構成となっており、1200番台が欠番となっています。
小田急が8両や10両の固定編成化を進める先駆けとなった編成で、新造車としては初めて8両以上の編成となりました。

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先に登場したのは10両編成で、営団地下鉄(現在の東京メトロ)千代田線への乗り入れ用の車両です。
1091Fから1094Fまでの4編成で、1091Fのみが先行して1991年度に増備されました。
1094Fは1000形の最終増備車となっており、196両全車が出揃いました。

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8両編成は1081Fの1編成のみが登場し、その後も増えることはありませんでした。
千代田線には乗り入れない小田急線内専用の編成でしたが、将来的な10両化は考慮されていたとみられます。

4両や6両と同様に、電動車と付随車を同数とした経済的な編成で、併結をする機会がないことから、先頭車の電気連結器は省略されています。
車内にはLEDスクロール式の案内装置が設けられ、1081Fは路線図方式のものも加わりました。
2000形へと繋がる仕様変更が各所に行われており、過渡期の編成であったといえるでしょう。

各編成の製造区分

編成数が少ないため、製造区分も限定的なものとなっています。
各編成ごとの製造区分は以下のとおりです。

【8両】
1081F:1次車

【10両】
1091F:1次車
1092F:2次車
1093F:2次車
1094F:2次車

10両の1次車は、ワイドドア車の増備が終わる前に登場した編成で、1編成だけを増備して様子を見たと考えられます。
2次車も基本的な仕様は変更されていませんが、細部には細かい違いがありました。

1091F以外の4編成は同時期に増備されていますが、1081Fのみは他と異なっている部分が多く、共通の仕様ではありませんでした。

特徴のある編成

唯一の8両ということで、1081F自体が特徴のある編成でしたが、それ以外の編成にも特徴がみられます。

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それが1093Fで、仕様差があるわけではありませんが、他の編成と比べてなぜか汚れやすいという特徴があり、側面を見るだけで編成が特定できてしまうほどです。

10両は1091F、1093F、1094Fの3編成がリニューアルを済ませており、現在は1092Fが入場中となっています。
1081Fは1編成のみという状況が災いし、中間車の2両が1097Fの組み替えに利用されたものの、残りの6両は廃車となってしまいました。

おわりに

小田急が固定編成化を進めるきっかけとなったこれらの編成。
8両編成は残念ながら廃車となりましたが、10両編成については、今後も活躍する姿がしばらくは見られそうです。