未更新のままで残っていた編成の廃車が進められ、在籍両数の減少が続いている小田急1000形。
多くのバリエーションでファンを楽しませてくれた車両は、一つの節目を迎えようとしているようです。

1000形のバリエーションを紹介してきた特集の最終回は、全編成が廃車になるとみられるワイドドア車を紹介します。

ワイドドア車の概要

1991年から1992年にかけて登場した車両で、ラッシュ時の遅延を防止するため、側扉の幅が2mに広げられました。
それまでの1000形とは異なる部分が多く、車両の番号は1500番台とされています。

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4両と6両が登場しましたが、4両が6編成、6両が2編成となっており、4両の割合が高くなっています。
登場当初はワイドドア車のみで組んだ10両も運転されましたが、期待した効果が得られなかったためか、長くは続きませんでした。
座席数が減ったことに対する苦情も多かったようで、運用に苦労する車両となってしまいました。

そこで、ワイドドア車の特徴でもある大きな扉の改造が行われ、開口幅を1.6mに縮小することで、外見には大きな変化がないものの座席定員が増加しました。
改造後は扉の外側に取っ手が設けられており、引き残しの視覚的な違和感を軽減しています。

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改造によって座席数が少ないという弱点を克服したワイドドア車でしたが、3000形の8両が増備されたことによって4両が過剰となったことや、高加減速が求められる各停を中心とした運用を嫌ったのか、4両については6両に組み替える改造が行われました。
先頭車を中間車化する大規模な改造で、ワイドドア車は最終的に6両が6編成に整理されています。

各編成の製造区分

編成数はそこまで多くないものの、2次にわたって製造されています。
各編成ごとの製造区分は以下のとおりです。

【4両】
1551F:1次車
1552F:1次車
1553F:2次車
1554F:2次車
1555F:2次車
1556F:2次車

【6両】
1751F:1次車
1752F:1次車

それぞれの1次車は、1990年度に登場した最初の20両で、試験的な要素が多く盛り込まれた編成となっています。
一部の車両が座席を折りたたみできるようになっているほか、1551Fと1751FにはLED、1552Fと1752Fには液晶画面の案内表示が設けられました。

2次車は4両のみが4編成増備され、各所が現実的な仕様に改められました。
案内表示は液晶画面に統一されましたが、1次車とは異なるものが取り付けられていました。

特徴のある編成

改造が繰り返されたことで、全ての編成に特徴がある状態となりました。

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登場時から6両だった1751Fと1752Fは、クヤ31形の牽引に対応している編成で、小田原方先頭車のスカートに特徴があります。
ノーマルドアの1051Fと同様のスカートになっていますが、ワイドドア車の場合は先頭に立つ機会が多く、日常的に見ることができました。

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1753Fから1756Fには、先頭車から中間車に改造された車両が含まれています。
改造された部分は違和感がないように仕上げられていますが、側扉の幅は1.5mのままとなっており、他の中間車とは外見が異なっています。

ワイドドア車はホームドアに対応することができないため、5000形の増備に伴い廃車が進められています。
最終的には全編成が廃車になるとみられ、この特徴的な姿を見ることができる期間はあと少しのようです。

おわりに

ラッシュ時の切り札として登場した1000形のワイドドア車。
1000形の中で最も特徴的なグループでしたが、役目を終える日は確実に近付きつつあるようです。