新型車両の5000形が登場したことによって、急速に数を減らしている1000形のワイドドア車。
ラッシュ時の切り札として小田急が導入した車両は、ついにその役目を終えようとしつつあります。

先日書いた記事のコメント欄で、ワイドドア車の加速について熱い議論が交わされているため、分かっていることや感じていることをまとめてみたいと思います。

昔は加速度を下げて使われていた1000形

現在は起動加速度が3.3km/h/sというのが標準となっている小田急の通勤型車両ですが、昔は2.7km/h/s前後が標準となっていました。
9000形や1000形は、営団地下鉄千代田線(現在の東京メトロ)千代田線に乗り入れるため、地下鉄線内での走行時は3.3km/h/sでしたが、他形式との併結時や小田急線内では加速度を下げて使われていました。



私は地下鉄線内で9000形に乗った明確な記憶がない世代ですが、1000形についてはしっかりと覚えており、小田急線内では重苦しく加速していた1000形が、地下に入ると鋭く加速するようになるのが分かりました。
特徴的な走行音ということもあり、その差は歴然でした。

これはワイドドア車についても同様で、登場時は2.7km/h/sで使われていました。
ワイドドア車は千代田線に乗り入れることがないため、高加速の状態で使われることはなかったと記憶しています。
ゆっくりと閉まる横幅が2mもある扉、そしてのんびりとした加速、今とは比較にならないぐらいのんびりとした発車でしたが、扉を閉めた後の安全確認が早かったため、結局は今より発車自体は早かったかもしれません。

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小田急線内での1000形は、基本的に2.7km/h/sで使われていたはずですが、あくまでも体感的なものでしかないものの、当時のワイドドア車はノーマルドア車より加速が悪い印象がありました。
起動時の音が間延びしているように記憶しており、重苦しく感じたものです。
単独時に1000形が小田急線内で3.3km/h/sで走行していたかの明確な記憶がないのですが、地下鉄線内でしか味わえないものだったという印象が強く残っています。

ワイドドア車の加速は悪かったのか

体感的な印象では、ワイドドア車の加速は悪かったように思うのですが、実際のところはよく分かりません。
その差について、明確に示されている文献も見た記憶がありません。

主要緒元表等でも、ワイドドア車の起動加速度は3.3km/h/sと記載されていますが、これは1000形としての数値であり、ワイドドア車固有のものではない可能性もあります。
一つだけ確実なことは、ワイドドア車は編成単位での重量がノーマルドア車より重く、補助電源装置を付随車に搭載することで重量を分散するほどの差なのです。

もう一つ分かっていることとしては、現在の起動加速度は2.7km/h/sではないということです。
しかし、これがノーマルドア車の起動加速度と同じレベルなのかどうかは分かりません。

感覚的なことばかりで申し訳ないですが、6両単独で走行する運用において、8000形の界磁チョッパ制御車やワイドドア車が充当されると、3000形等と比べて遅延する頻度が高い印象があります。
中高速域の加速度が異なるでしょうから、単純な比較はできないものの、一つの要素としては判断材料になりそうです。

そして、昔と異なる点はもう一つあります。
現在の1000形は制御装置のソフトウェアが改修されており、ベクトル制御になっているという点です。
空転再粘着性能等が向上したことで、起動加速度の引き上げが実現できた可能性もあるのではないでしょうか。

いずれにしても、ワイドドア車の加速度についてはよく分かりません。
感覚的な部分においては、明らかに加速が悪いという印象だけが残っています。

おわりに

結論のない記事となってしまいましたが、昔のワイドドア車がのんびりと加速していた頃を、とても懐かしく思います。
昔と比べ、小田急の車両は加速が良くなったなと、改めて感じました。