鉄道ファンが憧れる場所といえば、通常は立ち入ることができない運転席なのかもしれません。
車両を動かすことができる運転台があるその場所には、会社や形式によって個性があり、違いを見つけることも面白さの一つです。

かつての小田急では、マスコンとブレーキ弁が別々となっているのが標準でしたが、現在はワンハンドルマスコンが主流となり、昔ながらの運転台は風前の灯火となりつつあります。

2ハンドル仕様が当たり前だった小田急の運転台

昔の鉄道車両といえば、マスコンとブレーキ弁が別々の2ハンドル仕様が一般的でした。
日本では、東急8000系が本格的にワンハンドルマスコンを採用して以降普及が進み、現在ではこちらが主力となっている状況です。

小田急では、ロマンスカーの7000形(LSE)が初めてワンハンドルマスコンを採用して登場しましたが、これは電気指令式ブレーキとなったことで、採用自体がしやすくなった面が大きいといえます。
一方で、通勤型車両はその後も2ハンドル仕様の採用が続き、小田急の運転台のイメージとなっていました。

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写真は2600形の運転台で、形式によって細かい部分は異なっていますが、小田急といえばこのスタイルでした。
徐々に近代化されつつも採用が続けられ、2000形までが2ハンドル仕様の運転台で登場しています。

現在も小田急に残る2ハンドル仕様の運転台

以前と比べれば激減してしまったものの、現在も小田急では2ハンドル仕様の運転台を見ることができます。

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まずは未更新の1000形です。
リニューアルと廃車が同時に進められている結果、現在も未更新で残っている編成は僅かとなっています。
昔ながらの小田急らしい運転台を備える最後の車両となっていますが、その姿が見られなくなる日はそう遠くなさそうです。

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もう一つの形式が2000形です。
2000形は通勤型車両で初めて電気指令式ブレーキを採用しましたが、運転台については従来車に合わせた2ハンドル仕様とされました。
デスクタイプとなっており、それまでの運転台とは雰囲気が異なりますが、昔ながらのスタイルを最後まで残す車両となるのでしょう。

3000形以降の形式はワンハンドルマスコンを採用しており、8000形も現在残っている車両はその仕様に改造されていることから、1000形の一部と2000形だけが、現在は2ハンドル仕様の運転台を備える形式となっています。

おわりに

当たり前だった2ハンドル仕様の運転台が、徐々に見られなくなりつつある小田急の車両。
2000形が最後の車両となりそうですが、廃車までその状態を維持するのか、その点も気になるところです。