朝のラッシュ時に上り方面にだけ運転され、快速急行や通勤急行を補完する役割を担っている小田急の通勤準急。
優等列車ではあるものの、登戸までは各駅に停車し、複々線区間では緩行線と急行線を交互に走行する面白い列車種別です。

通勤準急は、なぜ緩行線と急行線を交互に走るのでしょうか。

通勤準急の面白い走り方

平日の朝ラッシュ時のみに運転される通勤準急は、本厚木等から出発します。
始発駅は列車によって異なりますが、10分程度の間隔で運転されています。
通勤準急が運転されているタイミングは急行の運転がされておらず、登戸を境にして各駅停車と急行の役割を切り替えていることが特徴です。

始発駅を出発した通勤準急は、相武台前や鶴川で上位の優等列車を待避して道を譲ります。
これは快速急行への乗り換えを抑制することにも繋がっており、混雑の分散化が図られています。

そして、通勤準急の走り方が面白くなるのが、複々線区間が始まる登戸からです。
通勤準急は優等列車ですが、その手前の向ヶ丘遊園からは緩行線に入ります。
しばらくはそのまま緩行線を走りますが、成城学園前の手前で急行線に移り、優等列車の顔を覗かせます。

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成城学園前を出発した後は急行線を走りますが、経堂で停車をするために緩行線へと戻ります。
しかし、そこからは急行線に戻らずに緩行線を進み、代々木上原でそのまま東京メトロ千代田線へと入っていくのです。
緩行線と急行線を行ったり来たりしながら、このようにして通勤準急は都心部へと入っていきます。

通勤準急はなぜ緩行線と急行線を交互に走るのか

緩行線と急行線を忙しく行き来する通勤準急の動きは、それだけを見ていると不思議に感じてしまいますが、当然合理的な理由があります。
この動きの背景には、朝のラッシュ時に走る他の列車が関係しています。

通勤準急が走る時間帯には、他にも各駅停車、通勤急行、快速急行が運転され、少しだけ特急が混ざります。
これらの列車と混ざって走るために、通勤準急は緩行線と急行線を行き来するのです。

朝のラッシュ時においては、最も下位の列車種別が各駅停車だとすると、通勤急行、快速急行、特急は同列で上位に位置します。
通勤準急はどちらになるかというと、どちらでもない中間に位置するといえます。

新百合ヶ丘から向ヶ丘遊園までを各駅に停車した通勤準急には、後ろから快速急行が迫ります。
通勤準急が緩行線に入ると、先を急ぎたい快速急行が通勤準急を追い抜きます。
緩行線を進んだ通勤準急は、成城学園前で先行の各駅停車に追いついてしまうため、今度はこれを抜かすために急行線に入るのです。

各駅停車を抜いて急行線を走ると、今度はさらに前を走る各駅停車に通勤準急は追いつきます。
経堂ではその各駅停車を抜きますが、そのまま緩行線を走って代々木上原に到着し、千代田線へと入っていきます。
千代田線の列車が遅れた場合には、早めに緩行線に入っていることがプラスに作用し、新宿方面の列車にはあまり影響しないようになっています。

おわりに

朝のラッシュ時において、中間に位置する役割を担っている小田急の通勤準急。
中間に位置しているからこそ、緩行線と急行線を行き来する必要があるといえるかもしれませんね。