現在はVVVFインバーター制御が主流となり、在籍する全ての車両がそれに統一された小田急。
小田急では1987年に登場した1000形で初めて採用され、その後の制御方式の標準となりました。

高性能車である2200形が登場して以降、制御方式は進化を続けてVVVFインバーター制御へと到達します。
歴代の小田急の各形式は、どのような制御方式を採用してきたのでしょうか。

通勤型車両の制御方式

1954年に小田急初の高性能車として2200形が登場し、車両の性能は飛躍的に向上しました。
技術の進化に応じて車両の制御方式も変化し、1000形がVVVFインバーター制御を採用して以降は、ほとんどの形式が同様の方式を採用しています。

まずは、高性能車の2200形以降の各形式が、どのような制御方式を採用したのかを見てみましょう。

2200形:抵抗制御
2300形:抵抗制御
2220形:抵抗制御
2320形:抵抗制御
2400形:抵抗制御(バーニア)
2600形:抵抗制御
4000形:抵抗制御
5000形:抵抗制御(バーニア)
9000形:界磁チョッパ制御
8000形:界磁チョッパ制御
1000形:VVVFインバーター制御
2000形:VVVFインバーター制御
3000形(2代目):VVVFインバーター制御
4000形(2代目):VVVFインバーター制御
5000形(2代目):VVVFインバーター制御

昔ながらの抵抗制御の時代が長く続きますが、9000形では界磁チョッパ制御が採用されました。
私鉄での採用例が多い制御方式で、小田急も例外ではありませんでした。

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9000形の増備が一段落した後は、再び5000形が増備されていますが、制御方式は再び抵抗制御へと戻っています。
5000形の6両は1982年まで増備が続けられますが、最後まで抵抗制御のままでした。
その後は8000形が界磁チョッパ制御を採用しますが、長くは続かずに1000形へと移行し、VVVFインバーター制御へと変わっていきました。

小田急の場合は、抵抗制御とVVVFインバーター制御の間が実質的に短く、5000形の増備が終わってから5年半後ぐらいには、VVVFインバーター制御の1000形が登場しています。
急行用の車両に安定性を求めた結果が、制御方式に反映されているといえそうです。

特急型車両の制御方式

続いてはロマンスカーの制御方式を見ていきましょう。
こちらも高性能車以降の形式としますが、2300形は通勤型車両に含めてしまったので割愛し、3000形からとします。

3000形:抵抗制御
3100形:抵抗制御
7000形:抵抗制御
10000形:抵抗制御
20000形:抵抗制御
30000形:VVVFインバーター制御
50000形:VVVFインバーター制御
60000形:VVVFインバーター制御
70000形:VVVFインバーター制御

通勤型車両に比べ、随分とシンプルな歴史です。
9000形や1000形で次世代の技術を採用した通勤型車両とは異なり、20000形までは抵抗制御の採用が続けられました。

ロマンスカーは停車駅が少ないことから、回生制動を使うメリットが少なく、安定した技術である抵抗制御が採用し続けられました。
1996年に登場した30000形が初めてVVVFインバーター制御とされ、ロマンスカーもようやく最新の技術を採用するようになりました。

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その後はVVVFインバーター制御の採用が続けられ、現在小田急に在籍する車両は全てこの制御方式となりました。
抵抗制御の昔ながらの走行音は、こうして過去のものとなったのです。

おわりに

細かい進化はあるものの、VVVFインバーター制御の時代も長くなってきました。
今後新しい制御方式へと変わることはあるのか、そんな未来も気になるところですね。