箱根登山鉄道の小田原から箱根湯本までの区間は、自社の車両での営業運転を行わず、小田急の車両が走行しています。
小田急小田原線との直通運転はほぼロマンスカーのみとなっており、各駅停車は小田原と箱根湯本の間を往復するのが基本です。

現在は1000形が担っている箱根登山線内の運用ですが、未更新車の置き換えが開始されたことによって、連日過渡期ならではの光景が展開されています。

3種類の小田急1000形が活躍する箱根登山線内

2008年に4両化が行われて以降、箱根登山線内では5000形、8000形、1000形の3形式が使われてきました。
当初は編成を限定せずに、様々な車両が走る姿を見ることができましたが、2009年に1000形の一部の編成がカラーリングを変更して専用編成となり、2012年以降は1000形のみで運行されるようになりました。



レーティッシュカラーの1000形だけが走るようになった箱根登山線内は、代走時に他の編成が走る以外は変化に乏しい区間となり、小田急線の末端区間のような雰囲気となっていました。
しかし、1000形の未更新車が置き換えられることとなり状況が一変、7月からは更新車も営業運転で入線するようになりました。



このまま一気に更新車に統一されてしまうかもと心配しましたが、幸いそのようなことはありませんでした。
現在も未更新車は活躍を続けており、3種類の1000形が見られる区間となっています。

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現在見ることができる1000形は、未更新車の1051F、レーティッシュカラーの1058Fと1061F、そして更新車の3種類です。
小田原から箱根湯本の区間は3編成で運転されるため、未更新車だけで運用される日もあります。
長い間レーティッシュカラーの編成だけが走っていた区間は、一気にバリエーションが豊富となりました。

長くは続かないと考えられる現在の状況

どの編成が走っているのかが楽しみとなった箱根登山線内ですが、現在の状況はあまり長く続かないと考えられます。
10月には1051Fを使用したツアーが企画されており、箱根登山線内の運用に充当されない時期もあるとみられます。

レーティッシュカラーの編成も含めて、未更新車の先行き自体も明るくはありません。
小田急が1000形の未更新車を早期に置き換えたいと考えていることは間違いなく、5000形の増備車が到着すると、廃車が発生する可能性が高くなります。
次の廃車候補は1051Fか1061Fだと考えられるため、仮に1051Fだった場合にはバリエーションが減ることとなります。

走行する全編成が更新車となる日も、そう遠くはないとみられます。
未更新車の編成数が少なくなれば、更新車だけで運転される日もあるでしょうから、まさに今が最も面白い時期といえるでしょう。

おわりに

箱根登山線内が更新車に統一される日は、そう遠くない未来に迫りつつあるといえます。
見慣れたレーティッシュカラーは消滅してしまうのか、今後どのように1000形が運転されるようになるのか、気になることが多い状況ですが、過渡期の光景が長く続かないことだけは確かなようです。