現在は6形式が在籍し、小田急の日々の輸送を支えている通勤型車両。
両数の違いによる使い分けはありますが、近年は形式による運用上の制限が少なくなりました。

以前は運用上の制限が数多く存在していましたが、小田急は長い時間をかけてそれらを解消してきました。

以前は多かった運用上の制限

昭和から平成初期にかけての小田急には、形式による運用上の制限が多く存在しました。
2200系列や2400形といった中型車がいた時代や、それ以前の1900形等が在籍していた時代は特に多く、形式ごとに細かく運用が分かれていました。

運用上の制限を複雑化していた要因には、2012年まで続いた途中駅での分割併合があります。
形式が異なる場合に、繋ぐことができないパターンが数多くあったため、それらを考慮して運用を組む必要がありました。
1900形等のABF車が廃車されると、ほとんどの高性能車同士は併結が可能な状態となりますが、運用上の制限は多く残っていました。

運用上の制限となったのは、箱根登山線に入線できない形式があったことや、車両によって併結する際の位置関係に制限があったという点です。
さらに、現在と違って車両の性能にもかなりの違いがありました。
4000形が吊り掛け駆動だった頃は、最高速度が95km/hとなっており、加速性能も当然劣っていました。
それ以外にも形式によって性能に違いがあり、各駅停車で走る形式と、優等列車で走る形式がある程度分けられていました。

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このような制限は、時代が平成になる頃にはある程度解消へと向かいますが、箱根登山線に入線ができない形式は引き続きあり、細かい性能の違いも残っていました。
しかし、それらの制限も3000形や4000形への置き換えによって徐々になくなり、運用もシンプルなものへと変わっていったのです。

現在も一部が残る運用上の制限

昔に比べればかなり少なくなりましたが、現在も運用上の制限が存在しています。
最も分かりやすいものは、東京メトロ千代田線の乗り入れが絡む運用で、これは4000形だけが充当可能です。

特定の編成にだけ存在する制限としては、1000形のワイドドア車がホームドアのある区間に入線できないというものがあります。
これはワイドドア車自体を淘汰することで解消に向かいつつあり、まもなく過去の制限となることでしょう。
他には、箱根登山線内を走行できるのは4両編成のみとなっており、形式は1000形に限定されています。

それ以外の6両、8両、10両の各編成については、既に運用上の制限が基本的になくなっています。
相互に繋ぐことができない編成パターンはあるものの、昔のように途中駅での分割併合はないため、それ自体は運用上の制限とはならなくなりました。

最近では、多摩線の6両の運用を10両が代走するケースや、10両の各駅停車を8両で代走するといったことも行われており、運用上の制限がかなり少なくなったことを象徴しています。
小田急が地道に進めてきた制限の解消は、ようやく終わりに近付きつつあるようです。

おわりに

運用上の制限がなくなることは確実に良いことですが、趣味的には少々寂しいものがあります。
パズルのように組まれていた昔の小田急の運用が、たまに懐かしくなるのは私だけでしょうか。