リニューアルと廃車が同時に進められ、残っている未更新車が僅かとなってきた小田急1000形。
元々はワイドドア車を除く全編成が更新される予定でしたが、どこかで計画が変更されたと考えられます。

計画が変更された具体的な時期や、理由に関する公式発表はありませんが、各年度でリニューアルが行われた編成を見ていくと、時期については推測することができそうです。

1000形の更新はどのように行われる予定だったのか

2013年度に8000形のリニューアルが終わり、次は1000形のリニューアルが行われることが予想されました。
入場したとみられる動きは先にありましたが、2014年4月30日に公式発表があり、ノーマルドアの160両が更新対象であることが分かります。
この時点でワイドドア車は対象外で、近い将来に廃車となることが予想されました。

最初にリニューアルが行われたのは4両の1066Fで、比較的新しい編成から行われるという意外な展開で更新はスタートします。
その理由は後に判明し、4両と6両を組み合わせて10両化する予定があったためでした。
詳細な計画は発表されていませんが、当初は4両と10両に再編する予定だったと考えるのが、個人的には自然だと思っています。



結果的には、2020年度に1081Fの大半の車両が廃車となり、160両全車が更新されることはありませんでした。
その後は4両やワイドドア車の廃車が進められており、未更新車を見かける機会は激減しています。

全編成が更新されない方針となったのはいつなのか

発表当初は全編成が更新対象となっていたノーマルドアの1000形ですが、この計画が変更されたと考えられるのはいつ頃なのでしょうか。
その時期を推測するために、まずは各年度にリニューアルが行われた編成を確認してみましょう。

【2014年度】
・1066F
・1057F

【2015年度】
・1063F

【2016年度】
・1095F
・1096F

【2017年度】
・1064F
・1091F

【2018年度】
・1067F
・1093F

【2019年度】
・1094F
・1069F

【2020年度】
・1065F

【2021年度】
・1097F
・1092F(予定)

時系列で整理すると、いくつかのポイントがありそうです。

まず、2016年度ぐらいまでは、リニューアルが順調に進んでいたと考えられそうです。
4両の比較的新しい編成から更新がスタートしていますが、次が1057Fだったというのがポイントです。
1051Fから1056Fは、1251Fから1256Fの各編成と組み合わせて10両化される予定だったと考えると、最初に新しい4両が更新対象となった理由が見えてきます。

そして、2016年度からは10両化を伴うリニューアルが行われますが、1095Fと1096Fの2編成だけで終わってしまいました。
2017年度は1064Fと1091Fが対象となりましたが、ここが計画変更のタイミングではないかと考えています。
正確には、1064Fは予定どおり、1091Fは当初の予定より早まったのではないでしょうか。
ここが本来は1097Fだったと考えると、辻褄が合うように思います。

何よりも、中間に先頭車が入る編成を早期に解消したかったでしょうから、ここで1091Fが入ってくることに違和感があるのです。
そして、2018年度に1067Fが4両のまま更新されたこと、これが決定打となったように思います。

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仮に1081Fと4両の3編成で組み替える場合、1067Fから1069Fを使いそうですから、1067Fが4両のまま更新されたということが、計画変更を裏付けているように思うのです。
そして、現在取締役社長を務める星野晃司氏が就任したのが2017年度であり、社内の方針に変更が発生してもおかしくはありません。
この時期に何らかの理由で計画が変更され、未更新車の一部が廃車になることが決まったと考えられそうですね。

おわりに

まだまだ走れそうな1000形が廃車となるのは残念ですが、あまりにも4両が多すぎたのでしょう。
リニューアルが行われた編成は、末永く活躍してくれることを願うばかりです。