新宿と箱根湯本を結ぶはこね号を中心に、一日を通して多くの列車が運転されている小田急のロマンスカー。
各列車には列車名となる愛称があり、どのような性格の特急列車であるのかが分かるようになっています。

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現在運転されているロマンスカーで使われている列車名について、改めて整理してみましょう。

基本となる列車名

現在使われているロマンスカーの列車名には、基本となるものが4種類あります。
以前は停車駅によって列車名が異なっていましたが、2004年からは行先を基準とするように改められました。

下り列車については、列車名によって最終的に到達する行先や方向が分かります。
上り列車は始発駅によって分かれており、下り列車がそのまま折り返す場合には、基本的に列車名がそのままとなる場合が多いといえます。

この前提を理解しつつ、まずは各列車名を見ていきましょう。

・はこね号(スーパーはこね号)
ロマンスカーの基本となる列車で、箱根登山線内の箱根湯本まで走る列車に使われます。
派生する列車名としてスーパーはこね号があり、途中は小田原のみに停車する観光輸送を目的とした最速の列車ですが、近年は本数がかなり少なくなりました。

・さがみ号
小田急の小田原線内だけを走る列車に使われ、行先は列車によって異なります。
はこね号を補完する列車として、以前は多く見ることができましたが、後述するモーニングウェイ号が登場したことで、近年は本数が少なくなっています。

・えのしま号
江ノ島線に向かう列車で使われるもので、基本的には片瀬江ノ島が基準となっていますが、藤沢から発車する列車もえのしま号となります。
平日は運転される本数が少なく、土休日のほうが多く見られます。

・ふじさん号
JR東海の御殿場線に乗り入れ、御殿場まで走る列車に使われます。
御殿場線の乗り入れに対応した60000形(MSE)だけが充当され、他の形式では御殿場線内でトラブルがあった際の代走等でしか見ることができません。
以前はあさぎり号という列車名でしたが、2018年に改称されました。

このように、列車によって停車駅は異なるものの、分かりやすく整理されています。
しかし、時間帯や乗り入れの有無でさらにバリエーションが増えるため、実際には他にも列車名が多数存在します。

時間帯や乗り入れの有無で変化する列車名

基本となる列車名に加えて、時間帯や乗り入れの有無でロマンスカーの列車名は変化します。
この変化によって列車名が多くなっていますが、列車ごとの性格がより一層分かりやすくなっています。

まずは乗り入れの有無による変化です。

・メトロはこね号
東京メトロの千代田線内を発着するはこね号に使われる列車名です。
乗り入れが可能な60000形のみが使用されています。

・メトロえのしま号
メトロはこね号と同様に、えのしま号が千代田線内を発着する場合に使われます。
相模大野で分割併合を行い、都心部ではメトロはこね号と併結することが基本となっています。

これらの列車にように、途中駅で分割併合を行う列車があり、編成の前後で列車名が異なる場合も存在します。
そして、これに時間帯による変化が加わり、さらにバリエーションが増えるのです。

・モーニングウェイ号(メトロモーニングウェイ号)
朝のラッシュ時に上り方向にだけ運転される列車で、着席して通勤するために設定されています。
出発する駅に関係なく列車名は同じで、千代田線に乗り入れる場合はメトロモーニングウェイ号となります。

・ホームウェイ号(メトロホームウェイ号)
夜のラッシュ時に下り方向にだけ運転される列車です。
行先に関係なく列車名は同じで、千代田線内から発着する場合にはメトロホームウェイ号となります。

現在使われている列車名は以上となります。
メトロさがみ号も近年まで存在していましたが、モーニングウェイ号が登場したことで廃止されました。

おわりに

多くの車両から前面の表示器がなくなり、列車名を意識する機会は以前より少なくなったのかもしれません。
意外と細かく分けられている列車名には、小田急らしい気配りが感じられますね。