形式によって異なるものの、鉄道の車両は複数回に渡ってまとまった時期に製造され、1次車、2次車というように分けられることが一般的です。
小田急についても例外ではなく、何回かに分けて車両が製造されます。

最初に製造される車両が基本的には1次車となりますが、小田急の通勤型車両の場合、1次車は何両程度が製造されるのでしょうか。

1次車として製造される通勤型車両の両数

各形式のプロトタイプにもなる1次車は、多くの鉄道ファンから注目されるだけではなく、一般の利用客からも珍しさで注目を浴びます。
小田急の場合は、ある程度の両数を最初から製造することが多いものの、形式によってその規模には違いがあります。

今までに登場した各形式は、1次車としてどれぐらいの両数が登場したのでしょうか。
大型車が標準となった2600形以降の各形式について、1次車の両数をまずは見てみることにしましょう。

2600形:30両(6編成)
4000形:12両(4編成)
5000形:16両(4編成)
9000形:24両(6編成)
8000形:24両(4編成)
1000形:32両(8編成)
2000形:16両(2編成)
3000形(2代目):24両(4編成)
4000形(2代目):70両(7編成)
5000形(2代目):10両(1編成)

結果は以上のようになっており、意外と形式によって差があることが分かります。
編成数の観点では、4から6ぐらいのことが多いようです。

形式ごとのトピックス

1次車の両数を出して終わりでは面白くないですから、形式ごとのトピックスも見ていきたいと思います。
小田急がその時期にどのような状況であったのか、そんなことが見えてきます。

まず、2600形の1次車が一気に30両も製造されたのに対して、4000形と5000形は少ないことに気付きます。
これは4000形が2600形や5000形と並行して製造されているためだと考えられ、1次車の両数が減ってしまったのでしょう。
古い車両から機器を流用した4000形を並行して製造することで、1両でも多く大型車を増やそうとしていたのがこの頃でした。

9000形から1000形までは、並行して増備が行われていないため、ある程度の両数が製造される状況となっています。
興味深いのは、1000形の1次車が一気に8編成も増備されていることですが、これは4両を2編成組み合わせた8両での使用が前提となっていたためで、実質的には8両が4編成ということになります。
2000形では再び1次車が少なくなりますが、これは車両の置き換えではなかったことが関係しているとみられ、この時期の小田急が車両を増やそうと頑張っていたことを物語っています。

本格的に車両の置き換えを担うこととなった3000形は、標準的な1次車の両数に戻ります。
しかし、4000形は一気に70両が1次車として登場しており、歴代の形式としても最多となっています。
これは1000形の4両と6両を繋いだ10両を、早期に地下鉄線内から撤退させたい意向があったと考えられ、結果として1次車の両数が多くなっているのでしょう。

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現在も増備が続けられている5000形は、5051Fの10両が1次車であることは確実なものの、5052Fが2次車であるという明確な情報が現状は見つかりません。
年度を跨いで1次車が製造されている可能性もあるため、今後の公式な情報が気になるところです。

おわりに

登場したばかりということもあり、注目を浴びることが多い1次車という存在。
その両数には登場時の状況が反映されており、意外な面白さが隠れていました。