小田急を代表する列車として、現在は小田原線と江ノ島線で運転されているロマンスカー。
近年は短距離での日常利用を重視しており、昔と比べて停車駅が増えています。

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停車駅が増えたことで、昔よりも所要時間が延びていそうに思われますが、実際には複々線化によって短縮されており、少し速く走ることができるようになりました。
ロマンスカーの所要時間は、昔と比べてどれぐらい短くなったのでしょうか。

ロマンスカーの現在の所要時間

新宿から小田原までをノンストップで走る列車は、数えるぐらいしかなくなってしまいましたが、ロマンスカーの最速列車としてスーパーはこね号が少しだけ残っています。
現在のダイヤでは上り列車での設定がなく、下り列車で平日に2本、土休日に4本が設定されているのみとなりました。

スーパーはこね号の所要時間は、平日か土休日かでかなり異なっており、土休日が最速59分で新宿から小田原を走破するのに対して、平日は70分前後を要します。
平日は朝のラッシュ時の影響が下り列車にも及ぶため、どうしても時間がかかってしまうのでしょう。

町田や本厚木に停車するはこね号の場合、新宿から小田原までは70分前後となっており、列車や時間帯によって差はあるものの、だいたいこれぐらいが現在の標準的な所要時間といえそうです。
スーパーはこね号の最速列車は、ダイヤを工夫することで実現しており、小田急の本気度が見え隠れする列車でもあります。

ロマンスカーの昔の所要時間

停車駅が異なるため、単純に比較することは難しいですが、昔はどれぐらいの所要時間で新宿から小田原までを走っていたのでしょうか。
現在のように複々線化された区間がほとんどなく、都心部の列車密度も高かった平成の初期がどうだったのかを見てみることとしましょう。

当時は列車の愛称ごとに停車駅が決められており、はこね号が新宿から小田原までノンストップ、あしがら号が町田にのみ停車、さがみ号が向ヶ丘遊園、本厚木、新松田に停車していました。
一部の列車で例外がありましたが、原則はこの停車駅でした。

現在のスーパーはこね号と同じ停車駅となるはこね号は、新宿から小田原まで70分前後を要していました。
土休日のスーパーはこね号と比べるとかなり遅いものの、平日とは変わらないといえます。
しかし、平日のスーパーはこね号は列車密度が高い中を走るため、本数が少ないこともあって比較は厳しいのかもしれません。

続いて、町田のみに停車するあしがら号ですが、こちらは70分から75分程度の所要時間となっています。
現在のはこね号と同等ですが、停車駅が一つであることを考えると、現在のほうが若干速くなっています。
3駅に停車するさがみ号については77分前後のようで、やはり現在のほうが若干速くなっていると思われます。

このように、若干速く走れるようにはなっているものの、そこまで大きくは変わらないともいえそうです。
複々線化の完成に加えて、車両の高加減速性能が向上したことで、停車駅が増えても所要時間が若干短くできていると考えられます。

その一方で、最速のスーパーはこね号が59分で走破しているのは面白い点です。
これは急行や快速急行を途中で何回も追い抜くことで実現しており、結局のところ他の列車を犠牲にしなければ、ロマンスカーの高速運転は実現できない状態となっています。
急行や快速急行は昔よりかなり多く走っているため、これらの列車を頻繁に抜かさない限り、ある程度以上は所要時間を短くすることはできないといえます。

見方を変えれば、現在の列車密度のままでは、新宿から小田原までをノンストップで走らせる意味はほとんどないともいえるのでしょう。
先行列車に追いついてゆっくり走るぐらいなら、途中駅に停車したほうが様々な面でメリットがあるといえそうです。

おわりに

昔よりは速く走れるようになったものの、全線に渡って列車の本数が増えたことで、ある程度以上は速くできない実態も見えてきます。
利用者もロマンスカーに速達性をそこまで求めていないでしょうから、そういった意味でも現状ぐらいが丁度良いのかもしれませんね。