2002年3月23日のダイヤ改正で登場し、2018年3月17日のダイヤ改正で廃止された小田急の多摩急行。
東京メトロの千代田線と相互直通運転を行う種別で、多摩線を走る本格的な優等列車として、以前は確固たる地位を築いていました。

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多摩急行には、当初小田急と東京メトロの車両が使われ、その後JR東日本の車両が加わりましたが、頻繁に見られたのは東京メトロの6000系でした。
小田急の車両が多摩急行で走る機会は、なぜ少なかったのでしょうか。

多摩急行で見ることができた車両

相互直通運転が前提となっていた多摩急行では、各社の車両が充当される姿を見ることができました。
時期によって見られる車両は変化していますが、定期的に見ることができた形式は以下のとおりです。

・1000形(小田急)
・4000形(小田急)
・6000系(東京メトロ)
・06系(東京メトロ)
・16000系(東京メトロ)
・E233系2000番台(JR東日本)

これ以外にも、輸送障害時等に自社線内のみの代走で別形式が充当されるケースがありましたが、本来の姿ではないので今回は触れないことにします。
小田急においては、1000形が後に4000形へと交代、東京メトロでは6000系と06系で運行されていたものが、徐々に16000系へと交代といった流れでした。

JR東日本のE233系2000番台は、2016年3月26日のダイヤ改正から相互直通運転に加わりますが、このタイミングで多摩急行の運行本数が大幅に削減されたため、ラッシュ時にのみ見ることができました。

小田急の車両が充当される多摩急行はなぜ少なかったのか

多摩急行の運行本数がまだ多かった頃、頻繁に見かけるのは東京メトロの6000系でした。
東京メトロの車両が充当される運用のほうが多く、小田急の1000形や4000形が来るのは少しお得感があったものです。
小田急の車両が充当される多摩急行は、なぜ少なかったのでしょうか。

相互直通運転においては、各社の車両の走行距離が同じとなるようにするのが一般的です。
千代田線の代々木上原から綾瀬までが21.9kmなのに対して、代々木上原から唐木田までは28.6kmですから、普通に考えれば若干小田急の車両のほうが多くなりそうにも思われます。

多摩急行に東京メトロの車両が多く使われたのは、3社の路線を走ることが可能だったためです。
小田急とJR東日本が相互直通運転を開始する前は、東京メトロの車両だけが3社の路線を通して運行することが可能でした。
小田急の車両が充当される多摩急行は、必然的に綾瀬を発着する必要が生じるため、どうしてもダイヤ上の制限が多くなってしまうのです。

そこで、多摩急行には東京メトロの車両を多く充当し、その分の走行距離を調整するために、小田急の車両は千代田線内を往復しているといった運用が見られることとなりました。
多摩急行は東京メトロの6000系が来るというのが定番でしたが、稀に06系が現れるのが面白かったものです。

おわりに

3社での相互直通が始まったことで、運用上の制限はかなり少なくなりました。
小田急とJR東日本が相互直通運転をするようになり、長年の問題は少し解消したのでした。