遠くで強く輝き、昼間でも車両の接近を知らせてくれる前照灯。
HIDランプの採用によって、前照灯は昔よりかなり明るくなりましたが、最近はLEDを採用する車両が増えており、HIDランプをLEDに交換するケースも多くなってきました。

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小田急についても同様の傾向となっていますが、HIDランプを採用した車両はどれぐらいあるのでしょうか。

HIDランプを採用した小田急の車両

小田急の車両で初めてHIDランプを採用したのは、2005年に営業運転を開始した50000形(VSE)でした。
それまでの前照灯とは異なる強い光は、まだ小田急顔のぼんやりと光る前照灯が残っている中で、より目立っていたように記憶しています。

通勤型車両での採用は、2007年に登場した4000形が最初でしたが、結局これが最初で最後のケースとなりました。
最終増備車の4066FではLEDの前照灯が採用され、その後他の編成もLEDへの交換が行われています。

2008年に営業運転を開始した60000形(MSE)もHIDランプを採用した車両です。
しかし、こちらも4000形と同様のパターンとなっており、2015年度に増備された60053Fと60255Fは前照灯がLEDとされ、他の編成の交換へと波及しました。

整理すると、4000形の4051Fから4065F、50000形、60000形の60051Fと60052F、60251Fから60254Fが、HIDランプを採用して登場した車両です。
現在は交換されている車両も多く、ほとんど見ることができなくなってしまいました。

HIDランプはなぜ交換が進められているのか

他社でも同様のケースが増えていますが、なぜHIDランプは交換が進められているのでしょうか。
高輝度放電ランプとも呼ばれるHIDランプは、ハロゲンランプに比べて長寿命で、消費電力も少ない点がメリットでした。

明るくなるのに少し時間がかかるといったデメリットはありましたが、長寿命というのは鉄道車両にとってメリットが大きく、1990年代の後半から2000年代にかけて採用が進みました。
しかし、より長寿命なLEDが前照灯に使用できるようになり、2010年代頃からはLEDを採用することが基本となります。
HIDランプを採用した車両は、ハロゲンランプを採用した車両も含めて交換対象となっているケースが多く、小田急もLEDへの交換が行われています。

交換が進められている理由は、LEDのほうが長寿命であり、明るさも問題がないといった理由であると考えられますが、HIDランプは水銀を含んでいるという点も、交換へと至っている理由の一つでしょう。
水銀を使用しないものも開発されましたが、互換性の問題等で普及には至りませんでした。

LEDと比較した場合に、あえてHIDランプを選択する理由がなくなっており、交換や廃車によって小田急から消滅するのは時間の問題と考えられます。
車両のデザイン上は、HIDランプのほうが優れている点もあるため、LED化によって印象が変化しているのは少し残念に思う面もありますが、仕方がないことなのでしょう。

おわりに

50000形がHIDランプを採用した時に、小田急にもついに登場したかと、かなり嬉しかったことを覚えています。
小田急での採用は限定的な範囲にとどまったため、比較的短命に終わってしまいそうですね。