多くの乗客を運び、日々の輸送を支えている小田急の通勤型車両。
定期的に新型車両が登場しては、古い車両が置き換えられるというサイクルが続きますが、その新しい車両が生み出されるのが車両メーカーです。

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小田急の車両は、複数の車両メーカーで製造が行われていますが、必ずしも均等な両数とはなっていません。
今回の記事では、各形式がどの車両メーカーで何両ずつ製造されてきたのかをまとめてみたいと思います。

引退した車両が製造された車両メーカー

小田急の車両は、昔から複数の車両メーカーで製造されています。
まずは、既に引退した車両について、大型車が標準となった2600形から、その内訳を見ていきましょう。

【2600形】
川崎車輛:61両(46.2%)
東急車輛製造:10両(7.6%)
日本車輌製造:61両(46.2%)

【4000形】
川崎車輛(川崎重工業):9両(9.8%)
東急車輛製造:72両(78.3%)
日本車輌製造:11両(12.0%)

【5000形】
川崎重工業:61両(33.9%)
東急車輛製造:54両(30.0%)
日本車輌製造:65両(36.1%)

【9000形】
川崎重工業:38両(42.2%)
東急車輛製造:22両(24.4%)
日本車輌製造:30両(33.3%)

既に引退した4形式については、このような結果となりました。
三つの車両メーカーで分かれていますが、ある程度均等になるように配慮されていることが分かります。

そして、面白いのは2600形と4000形の関係で、東急車輛製造は2600形がとても少なく、4000形は逆に大多数を占めていました。
パイオニア台車を採用している点からも分かるとおり、4000形は東急車輛製造の色が濃くなっています。

現役の車両が製造された車両メーカー

続いては、現在も活躍する車両が製造された車両メーカーを見ていきましょう。
こちらもある程度は均等になるような配慮がされていますが、近年は偏りが出る傾向のようです。

【8000形】
川崎重工業:60両(37.5%)
東急車輛製造:44両(27.5%)
日本車輌製造:56両(35.0%)

【1000形】
川崎重工業:72両(36.7%)
東急車輛製造:72両(36.7%)
日本車輌製造:52両(26.5%)

【2000形】
川崎重工業:24両(33.3%)
東急車輛製造:24両(33.3%)
日本車輌製造:24両(33.3%)

【3000形】
川崎重工業:108両(31.2%)
東急車輛製造:68両(19.7%)
日本車輌製造:170両(49.1%)

【4000形】
総合車両製作所:20両(12.5%)
東急車輛製造:124両(77.5%)
東日本旅客鉄道(新津車両製作所):16両(10.0%)

【5000形】
川崎重工業(川崎車両):40両(44.4%)
総合車両製作所:20両(22.2%)
日本車輌製造:30両(33.3%)

結果はこのようになっており、3000形からは車両メーカーに偏りが生じています。
近年はロマンスカーを日本車輌製造にまとめているため、その辺もこの結果に影響しているといえそうです。

興味深いのは4000形で、東急車輛製造を中心としてスタートし、その後JR東日本に関係する車両メーカーだけでまとめられています。
E233系をベースとしていることや、将来的に常磐緩行線に乗り入れることが背景にあるのでしょう。
5000形の比率はこれから変化していくと思われますが、川崎車両の比率が若干高くなりそうな印象の中、4000形を多く製造した総合車両製作所からどの程度の両数が製造されるのか、そのあたりも気になります。

おわりに

この記事をまとめ始めて、思っていた以上に両数をまとめることが面倒だと気付きました。
しかし、イメージで理解していた車両メーカーの偏りが可視化され、まとめた意味はあったのかなと思っています。