利用者の行動変化に合わせて、減便を伴うダイヤの変更を2022年3月12日に行う小田急。
日中を中心に運行本数が見直され、少し前に近い状態となりそうです。

そして、運行本数の見直しに加えて気になるのが、各列車の両数がどれぐらい見直されるのかという点です。
今回の記事では、10両で運転される列車が減る可能性について考えてみたいと思います。

朝ラッシュのピーク時に多く必要となる10両編成

鉄道にとって最も車両が必要なのは、朝の通勤や通学が集中する時間帯です。
多くの鉄道会社では、所属する車両が総動員され、最大の両数と本数で運転されることが基本となっています。

小田急も例外ではなく、都心に向かう列車は10両編成ばかりになり、複々線区間では途切れることがないぐらいのペースで電車が走ってきます。
人々の生活が変化しつつあることで、以前よりは朝の乗客が減ってはいるものの、やはり他の時間帯とは全く異なる混雑度です。

ダイヤの変更後も、朝ラッシュのピーク時に運転される本数は減るどころか増えています。
列車の本数は現在の36本から38本となっており、モーニングウェイ号の増発等を行うことで、変更前からは2本増加することとなります。

そして、気になるのはピーク時の前後にあたる時間帯です。
ピーク時ほどではない混雑がある時間帯ですが、列車によって混雑度に差があることから、これらを整理して運転本数を少し減らす可能性があるように思います。

このような可能性を考える意図としては、いくら日中の運行本数を減らしても、削減できるのは運行自体で発生するコストと、乗務員の人件費が中心となります。
しかし、朝のラッシュ時に運転する本数を減らすことができた場合、所有する車両自体を減らすことが可能となります。
コストダウンの効果が大きいため、運行本数の見直しの背景には、保有車両数の見直しも関係している可能性があるかもしれません。

現在のダイヤにおける10両の運用数

現在のダイヤでは、10両の運用数が57あります。
東京メトロの千代田線に乗り入れるC運用と、小田急線内だけを走るE運用の2種類に分かれており、前者は基本的に4000形だけが充当され、後者は10両編成を構成できる全ての形式が使われます。

運用数の内訳は、C11からC23が13運用、E11からE42が32運用、E61からE72が12運用です。
各駅停車から快速急行まで、現在は各種別に充当されるようになっており、各列車で様々な形式を見られるようになりました。

さて、年々10両固定編成の割合を増やしている小田急ですが、運用数と比較してどれぐらいが固定編成となっているのでしょうか。
8000形も半固定編成として考えて整理すると、各形式は以下の本数となります。

8000形:13本
1000形:7本
3000形:12本
4000形:16本
5000形:9本

これらの本数を全て足すと57本になりますが、予備を含めると若干足りない状態となるため、8000形や1000形の4両と、3000形の6両を繋いだ編成が少し走っています。
現状は異形式での併結が前提の運用数となっていることが、ここまでの整理で分かりました。

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ダイヤの変更後に、各列車がどのような両数で運転されるのかは、まだ詳細が分かりません。
しかし、6両の運用数が今よりも増える可能性があることから、その場合には10両を組んでいる4両と6両の編成を解放することで、6両の編成数を確保することが必要となりそうです。



10両の編成を解放すると、6両の相方となる4両にも余剰が発生しますが、それらは藤沢から先の区間で使用すれば、辻褄が合うようにも思います。
既に1000形の4両の一部の編成において、編成禁止という表記が運転台に掲示された編成が目撃されており、ダイヤの変更後を見越した動きが既に始まりつつあるのかもしれません。

おわりに

詳細は不明ながら、ダイヤの変更によって、運用にも見直しがありそうな小田急。
実際にどうなってくるのかが判明してくるまで、分かっている情報で推測を繰り広げるのも楽しいものですね。