多くの鉄道ファンに衝撃を与えた、小田急50000形(VSE)の早期引退。
2022年3月11日に定期運行を終了し、2023年の秋頃に引退する予定となっていますが、VSEが定期運行を終了した後は、前面展望席を備えるロマンスカーがGSEのみとなり、少々寂しい状態となってしまいます。

小田急からは、VSEの後継となる車両についての発表はありませんが、このまま3形式で運用していくのでしょうか。

運用数を減らして対応するダイヤの変更後

VSEが定期運行を終了するタイミングにおいて、ロマンスカーの増備は行われません。
それは2編成が純減となることを意味していますが、ロマンスカーを運転する本数自体が見直されるため、運用数を減らして対応すると考えられます。

ダイヤの変更後は、さがみ号やえのしま号が若干増えるものの、はこね号の運転本数がかなり減少します。
はこね号を中心としてVSEは使われてきましたが、そのはこね号自体が減らされてしまうのです。

新型コロナウイルス感染症の影響で、観光需要自体が落ち込んでいるため、それも踏まえて今回減便に踏み切ったといえます。
本数が減らされるのは主に日中の列車だと考えられますが、箱根湯本までロマンスカーが入線する機会はだいぶ少なくなりそうです。

ロマンスカーを2本も減らして大丈夫なのかと思う面もありますが、30000形のリニューアルを進めている最中でも基本的には大丈夫だったこと、4両を活用すれば車両の本数自体は確保できることから、大きな問題が発生することはないと思われます。
今の厳しい状況を乗り越えようとする意志が、VSEの定期運行の終了からは伝わってきます。

フラグシップ形式が登場する可能性

今回引退することが決まったVSEは、ロマンスカーのフラグシップとして登場しました。
登場直後は完全に他の車両とは別格として扱われ、長い間ホームウェイ号に充当されることもありませんでした。

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VSEの引退後も、新型車両を導入するといった動きや、GSEを増備する様子は今のところありません。
先ほど述べたように、運用数を減らすことで車両自体は足りており、観光需要自体が今は大きく落ち込んでいるため、急いで観光用の車両を増備する必要自体がないといえます。
言い方を変えれば、どんなに素晴らしい観光用のロマンスカーを登場させても、この状況下では投資に見合うだけの効果を得ることは不可能ですから、増備しないで乗り切るのでしょう。

しかし、このままロマンスカーが日常利用を重視する乗り物になっていくのかというと、それは違うと予想しています。
あくまでも現状を乗り越えるため、それが今回のダイヤ変更だと考えています。
運転する本数自体は戻らないかもしれませんが、観光需要が戻ってくるタイミングで、小田急は新しいロマンスカーを導入するつもりなのではないでしょうか。

それを匂わせる存在が、20両だけ残っている30000形(EXE)の未更新車です。
続々廃車となっている1000形と同様、リニューアルがストップしているこれらの20両を、ある程度の時期に他の編成よりも先に廃車すると考えれば、新しい車両が増備される可能性が見えてきます。
つまり、VSEを置き換えるのはEXEであり、そのEXEは繋ぎとしての車両であるという可能性です。

VSEは定期運行を引退した後も2023年の秋頃まで残りますが、1年以上もそのまま残るということが、どうしても長すぎると感じています。
2019年の後半に重要部検査を行っているため、定期運行の終了によって走行する機会が激減すれば、VSEが2023年の秋頃まで残ることが可能なのは間違いありませんが、車両のラインナップとして少しでも長く保有しておきたいというのが正直なところなのかもしれません。

定期運行はなくても、ロマンスカーのラインナップが3形式になる事態はこれで避けられます。
問題はVSEが完全に引退した後ですが、きっとそのタイミング以降で何らかの動きが出てくるのでしょう。
そんなことを勝手に期待しつつ、ロマンスカーのこれからを見守っていきたいと思います。

おわりに

どのような結果になるのかは数年後に分かるのでしょうが、GSEが増備されるだけの可能性もあります。
いずれにしても、未更新で残っているEXEは早い段階で置き換えられるのでしょうから、観光向けの車両が減ったままとなる可能性は低そうであり、また小田急がロマンスカーで夢を見せてくれる、そんな日常が早く戻ってくることを心から願っています。