小田急小田原線の起点であり、他の駅と比べても圧倒的に利用者数が多い新宿駅。
駅の規模も当然大きく、地上と地下に分かれて5本の線路があることが特徴となっています。

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地上を優等列車、地下を各駅停車が使用していますが、優等列車の比率が増えたことで、近年は使い分けが難しくなりつつあります。

高くなった優等列車の運行比率

小田急の都心側といえば、昔は各駅停車が輸送の中心を担っており、本数も現在とは比較にならないぐらい沢山ありました。
その後、郊外の人口が増加してくると、各駅停車の本数を減らしつつ、徐々に優等列車を中心としたダイヤへと変わります。

そして、2016年には快速急行を中心とするダイヤへの変更が行われ、それまでは急行を補完する役割であった快速急行が遠距離輸送の主役となりますが、急行の本数は減らされなかったため、複々線を最大限活用して沢山の優等列車が走る状態となりました。
2018年からは、小田原線と多摩線を直通運転する急行が新宿発着となり、これによって新宿を発着する列車の本数がさらに増加しています。

現在は日中でも21本もの列車が発着し、3分に1本のペースで電車が出入りしている状態です。
標準的な列車の内訳は、以下のとおりとなります。

特急:3本
快速急行:6本
急行:6本
各駅停車:6本

快速急行と急行に加え、ロマンスカーが20分おきに走っており、優等列車が15本、各駅停車が6本の割合で発車しています。
優等列車が多く走っていることが、この本数からも分かりますね。

地上と地下の使い分けが難しくなりつつある新宿駅

小田急の新宿といえば、地上を優等列車、地下を各駅停車が発着する、それは利用者にも広く浸透しています。
しかし、優等列車の本数が増えたことで、この使い分けはギリギリの状態となっています。

地上と地下がある新宿は、地上に3本、地下に2本の線路があります。
つまり、優等列車用と各駅停車用のホームは、3対2の比率になっているのです。

実際の列車の比率はどうなっているかというと、5対2となっていることが先ほどの本数から分かり、地上のホームは常に列車が発着しているような状態となっています。
その一方で、地下のホームは1時間に6本しか列車が発着しないため、少々バランスが悪い状態です。
以前は区間準急が地下のホームを使用していましたが、廃止後は各駅停車だけが10分おきに発着する状態となっています。

本来であれば、5本の線路をフル活用できればベストなのでしょうが、優等列車の比率が増加したことで、種別で分けた場合にはどうしてもアンバランスな状況が発生してしまいます。
特定の種別を地下に移すことや、混ぜてしまう運用も現実的ではないため、昔と比べた場合には少々使い分けが難しくなってきているように感じます。

しかし、2022年3月12日のダイヤ変更では、新宿を発着する急行が3本削減されることになっており、地上のホームに少しだけ余裕が生まれることが見込まれます。
地上の線路が常に埋まっているような状態は、これによって少し改善しそうですが、このアンバランスな状態を解消することは、そう簡単ではないようです。

おわりに

各駅停車の本数が減ったことで、昔より静かになった新宿の地下ホーム。
このアンバランスな状態を解消することは、種別で分けるとなると難しいのかもしれませんね。