近年は走ることがなくなりましたが、東京メトロの千代田線から小田急へと直通し、箱根登山線の箱根湯本や片瀬江ノ島まで走る臨時列車が、通勤型車両によって運行されていた時期がありました。
多くの列車では1000形が使われ、4000形によって運転されたケースもありましたが、その頃から通勤型車両による臨時列車は運行されなくなっていきます。

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走る機会がなくなり、少々寂しく感じる部分もありますが、これらの列車は相互直通運転を盛り上げ、その後の発展に繋がっているのかもしれません。

通勤型車両によって運転された臨時列車

2000年代の前半、東京メトロの千代田線から小田急線内に直通運転を行う臨時列車が多く運転されました。
当時は通勤型車両のみが乗り入れていたため、小田急の車両が使われる場合には1000形が、東京メトロの場合には6000系や06系が使われていました。

1000形には4両と6両を併結した10両編成と、10両固定編成の2種類がありましたが、列車によっては分割併合が可能なメリットを活かし、相模大野を境として小田原線と江ノ島線の両方を走行する臨時列車も運転されました。
分割併合ができることは1000形で運転する最大のメリットで、箱根湯〜ゆう号と江の島マリン号を併結した列車や、箱根駅伝応援号等が運行されました。

当時の臨時列車には、毎回しっかりとしたヘッドマークが用意され、それらの違いも楽しみの一つでしたが、やがてステッカーを貼るスタイルに変化していきます。
今振り返ると、追加料金が発生しない臨時列車に毎回ヘッドマークを用意していたのは、かなりのサービスでした。

これらの臨時列車は、東京の都心部から乗り換えをせずに観光地まで行けるものが多く、観光が盛んな時期に多く運転されましたが、乗車率はそこまで高くなかったように記憶しています。
普段の利用者がたまたま臨時列車に乗り合わせることも多く、目的地となる終点まで乗り通す方がどれぐらいいたのかは気になるところです。

臨時列車からロマンスカーへの発展

一時期は沢山運転された通勤型車両による臨時列車ですが、観光地への輸送という点では、少し物足りない部分があったかもしれません。
東京の都心部から観光地までは遠く、ロングシートの通勤型車両で乗り通すことは、さすがに辛かったとも思います。

しかし、これらの臨時列車から発展したものが、2008年から始まったロマンスカーによる直通運転なのかもしれません。
きちんとした車両を用意し、追加料金を払うことで観光地まで座れる環境が、最終的には用意されることとなりました。

時を同じくして、通勤型車両を使用した臨時列車が運転される機会はほとんどなくなりました。
直通運転を行うロマンスカーへと発展して、その役目を終えたということなのでしょう。
利用率が高かった印象はあまりない臨時列車でしたが、新たな輸送需要の掘り起こしへと繋がったのかもしれません。

おわりに

直通運転を行うロマンスカーへと発展し、静かに消えていった通勤型車両による臨時列車。
趣味的には面白い列車でしたが、あの距離を利用するには、やはりロマンスカーのほうが適しているといえそうですね。