小田急多摩線の終点であり、69番目の駅として開業した唐木田。
平成になって初めて開業した駅でもあり、それまでの多摩線の駅と比べて、洗練された雰囲気となりました。

その唐木田駅には、現在も少しだけ有人改札口が残されています。
有人改札口の遺構は、なぜ現在まで残っているのでしょうか。

唐木田駅に残る有人改札口

多摩線の終点となる唐木田は、1990年3月27日に開業しました。
隣接して喜多見検車区唐木田出張所があり、タイミングが合えば車両が入出庫する様子を見ることもできます。

ホームの端にある階段から改札口へと向かいますが、その横幅はとても広めに確保されており、将来的な発展を見込んでいたことがうかがえますが、自動改札機はある程度の台数に絞られており、広い幅に対して控え目な印象です。
そして、その自動改札機の横には、今となっては懐かしい遺構が残されています。

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ある程度の年齢の方は、これを見て懐かしいと感じるのではないでしょうか。
自動改札機が導入される前に使われていた有人改札口が、唐木田には今も一部だけ残っているのです。

当然現在は使われることがないものの、長年に渡って撤去されることもなく、自動改札機の横で静かに時を刻んでいます。

有人改札口はなぜ残っているのか

唐木田にある有人改札口は、なぜ撤去されることなく今日まで残っているのでしょうか。
もちろん明確な理由が分かるはずもないのですが、なぜかを考えてみたいと思います。

まず唐木田が開業した1990年の時点で、小田急に自動改札機はありませんでした。
小田急で初めて自動改札機が導入されたのは1991年で、唐木田が開業した翌年のことです。



少々タイミングが悪かったとはいえそうで、全駅での設置が完了したのが1997年ですから、唐木田では有人改札口がそう長くは使われずに終わったことになります。
撤去するにはまだ新しい、そういった事情があったのかもしれません。

現在の状況を見ると、残された有人改札口は壁として使われていることも分かります。
つまり、そのままで壁として機能するため、新しいこともあってそのまま残ったのだと思われます。
素材もステンレスで腐食の心配がないことから、わざわざ撤去して柵にする理由もないのでしょう。

この有人改札口、昔は団体客等を通す役割もあったのかもしれませんが、今となっては分かりません。
せっかく残っているのですから、イベント等で昔の光景を再現してみたりするのも面白いかもしれませんね。

おわりに

小田急で全駅に自動改札機が導入されてから20年以上が経過しますが、唐木田には懐かしい遺構が今も残っています。
昔を今に伝えるものとして、これからも残ってくれることを願っています。