小田急江ノ島線の要衝となっている藤沢駅の隣に、藤沢本町という名前の駅があります。
各駅停車のみが停車する小規模な駅ですが、「本町」という単語が入っていることからも分かるとおり、歴史的な意味を持っています。

藤沢本町は、なぜこのような駅名となったのでしょうか。

藤沢の隣に位置する藤沢本町

江ノ島線で最も大きな駅である藤沢の隣に位置し、6両分のホームを備える比較的小規模な駅として、藤沢本町があります。
各駅停車のみが停車する江ノ島線の駅としては一般的なスタイルですが、駅名に本町という立派な単語が含まれています。

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藤沢本町は、江ノ島線の開業に合わせて1929年4月1日に営業を開始しました。
開業時から駅名は変わっておらず、長年に渡って藤沢本町を名乗り続けています。

駅の周辺はどうなっているのかというと、昔は田園風景が広がる地域でしたが、1970年代に周辺の開発が進んだことで、現在は住宅地となりました。
学校が周辺に多いという特徴もあり、登下校の時間帯は学生で混雑しています。

藤沢本町の駅名の由来

開業時から藤沢本町という駅名を名乗っているということは、その時点でこのようになった由来が存在しているということになります。
藤沢本町という駅名には、藤沢周辺に集まる鉄道の開業が大きく影響しています。

さて、駅名の由来を知るには、かなり古い時代までさかのぼる必要があります。
藤沢の周辺には、かつて東海道の宿場として藤沢宿がありました。
東海道には53の宿場がありましたが、藤沢宿はその6番目であり、古くから藤沢の周辺は栄えていたことになります。

藤沢宿の位置は、現在清浄光寺がある付近から、藤沢本町付近の小田急を跨いだ先までとなっていました。
つまり、藤沢本町がある位置は、その昔商業の中心地だったということになり、藤沢宿があった位置には、現在も当時をしのばせる風景が若干残っています。

これが駅名に本町が入っている理由ですが、藤沢本町が開業した時点で中心地は既に藤沢へと移りつつありました。
そのきっかけとなったのが、1887年に開業した東海道本線の藤沢駅で、藤沢宿の玄関口として設けられたものの、藤沢宿の中心からは少し離れていました。
駅の開業によって、中心地は藤沢駅の周辺へと徐々に移っていくこととなり、小田急も東海道本線を跨いで藤沢に乗り入れますが、藤沢宿の周辺に藤沢本町駅も設け、歴史的な経緯を鑑みてこの駅名としたのでしょう。

おわりに

藤沢が少し離れた位置に開業したことで、古くから栄えていた藤沢本町の周辺は中心地ではなくなりました。
しかし、藤沢本町の周辺には今もその名残が点在しており、昔の繁栄を今に伝えています。