リニューアルと廃車が同時に進められるという、小田急では珍しいパターンとなった1000形。
未更新の車両が一気に少なくなり、数年前とは状況が一変しつつあります。

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当初はワイドドア車を除く全車両が更新対象となっていた1000形ですが、仮にこの計画がそのまま進められていた場合には、全車両の更新を完了するのにどれぐらいの年数が必要だったのでしょうか。

全車両が更新対象だった1000形

8000形のリニューアルに約11年を要した小田急は、2014年度から1000形のリニューアルを開始しました。
リニューアルを行うことは2014年4月30日に発表され、当初はワイドドア車を除いた160両が対象車両となっていました。

小田急ファンの間では、さすがにワイドドア車のリニューアルは行われないだろうと予想されていたため、この発表自体は驚くものではありませんでした。
この時点でワイドドア車の未来は確定していたようなものであり、残された時間が長くないことは容易に予想ができました。

1000形のリニューアルでは、4両と6両の編成を組み合わせて先頭車を中間車化し、10両固定編成化する改造が行われました。
先頭車を完全な中間車とする改造は4000形以来のことで、ステンレスの車体を採用した車両では初めてのケースとなっています。
しかし、この改造は2編成が行われて以降は続かず、その頃から不穏な空気が漂いつつありました。

当初の方針が変わり、全編成が更新対象ではなくなっているのが分かったのは2020年で、1081Fが廃車となったことで明らかになりました。
その後は4両の編成やワイドドア車の廃車が進められ、未更新車はかなり数を減らしています。

全編成の更新をした場合の想定年数

廃車となる編成が発生したことで、結果的に2021年度でリニューアル自体が終わる可能性が高い1000形ですが、全編成の更新を完遂した場合にはどれぐらいの年数を要したのでしょうか。
施工のペースから、想定される年数を算出してみたいと思います。

まず、各年度に更新された両数をまとめたいと思います。

2014年度:8両
2015年度:4両
2016年度:20両
2017年度:14両
2018年度:14両
2019年度:14両
2020年度:4両
2021年度:20両

2021年度は想定となりますが、2編成を更新することが発表されており、1097Fと1092Fが該当すると考えられます。
年度ごとのばらつきが大きいですが、これは10両を更新する場合に時間がかかるためです。

これらの両数を合計すると、1000形でリニューアルが行われるのは98両となり、ワイドドア車も含めて196両が在籍した1000形は、丁度半分が更新されることになります。
この98両が各年度で更新された両数を平均すると、1年では12.25両となり、14両が3年続いていることを考慮すると、そこまで違和感もありません。

ワイドドア車を除いた1000形は160両ですから、これを12.25両で割った場合には約13年となります。
同じく160両が在籍した8000形のリニューアルに約11年を要していることから、ほぼ同様のペースだったことが分かります。
ちなみに、両数が揃っている14両を基準とした場合には約11年となり、8000形と同じ年数に落ち着くことも興味深い点といえそうです。

おわりに

仮に約13年を要した場合、1000形のリニューアルが終わるのは2027年度だったということになります。
約11年だった場合にも2025年度ですから、1000形の車齢を考えると、全車両に行うという当初の計画自体に無理があったのかもしれませんね。