地上と地下にホームがあり、駅全体が二層構造となっている小田急の新宿駅。
開業時は地上にホームがあるのみでしたが、1960年代に二層構造への改良工事が行われました。

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そんな新宿駅のホーム下では、かつて熱を吸い出す特殊な装置が使用されていました。
この特殊な装置は、どのような目的で設置されていたのでしょうか。

ホームの下にあった熱を吸い出す装置

ホームドアの整備が進められ、最近ではホームの下が見えにくくなった新宿ですが、かつてはホーム下で特殊な装置が使われていました。
それは熱を吸い出す役割を持っており、ホームの下に大きなパイプのようなものが多数並んでいたのです。

ホームの下に並ぶ大きなパイプは目立ちましたが、普段利用しているだけだと熱を吸い出す役割だというのは分からない方も多かったかもしれません。
普通の駅にはない独特なものであり、昔の新宿ならではのアイテムでもありました。
この装置がいつ頃使われなくなったのかは分かりませんでしたが、記憶の中では強く印象に残っています。

なぜ熱を吸い出す装置があったのか

現代では珍しくなくなりましたが、小田急の新宿では早くから冷暖房が完備されていました。
地下だけではなく地上でも使われており、比較的珍しいケースだったものと思われます。

これが熱を吸い出す装置を設置していた理由に繋がり、車両の床下から発生する熱を吸い出すための設備だったのです。
車両が出す熱の問題は、地下鉄等でも問題となっていましたが、電機子チョッパ制御等の採用によって、熱の排出量が少ない車両を導入して解決を図っていました。

小田急の場合には、多数の抵抗制御車が在籍している状況であり、それらの車両を一気に置き換えることもできないため、このような装置を導入したのだと思われます。
さらに面白いのは、吸い出した熱を冷房のエネルギーとしても利用していたそうで、昔から省エネルギーへの取り組みが行われていたことになります。

車両自体が熱を排出しにくくなってきたからなのか、気付いた時には使われなくなっていたように記憶しています。
いつ頃まで使われていたのかが、気になる部分です。

おわりに

車両自体の改善が進んだことで、このような装置は必要がなくなりました。
昔の電車といえば、床下から熱を排出するのが当たり前でしたから、随分と改善が進んだことを実感させられます。