近年は各駅停車の10両化が進められ、8両で運転する列車が減少しつつある小田急。
8両の運用数は17まで減少しており、今後さらに減っていく可能性があるとみられていました。

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しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による利用動向の変化で、状況は大きく変わりつつあります。
小田急の通勤型車両における編成両数の最適解は、どこに向かうのでしょうか。

10両化を積極的に進めていた小田急

2019年に代々木八幡が10両の停車に対応したホームの長さとなったことで、小田原線の各駅停車は8両から10両への増強が本格化しました。
それに先立つ2014年には、多摩線でも各駅のホームが10両の停車に対応しており、現在は小田原線の新宿から新松田、多摩線で10両の各駅停車が運転可能となっています。

それまでの小田急では、各駅停車を8両、優等列車を10両とするのが基本パターンで、支線や末端区間は6両での運転を行ってきました。
しかし、小田急には2両の増結用編成が存在しないため、どうしても8両の走行距離が短くなるという問題点がありました。
終点で折り返す際にも、各駅停車から優等列車、またはその逆とすることができず、運用上の制約にもなっていました。

各駅停車を10両化して8両をなくすことができれば、これらの問題点が解消することから、車両の置き換えに合わせて10両化がさらに進められる可能性が高い状況でした。
小田急の車両は6両と10両に統一され、一部にだけ4両が残ると思われましたが、2022年3月12日に行われるダイヤの変更で減便が行われることや、今後も利用者数が元には戻らないと考えられることで、状況は変わりつつあるのかもしれません。

編成両数の最適解を考える

ダイヤの変更後は、必要となる車両自体が減少するため、小田急は保有車両数の削減を示唆しています。
ロマンスカーも合わせての両数になるとは思われますが、60両というショッキングな数字も公表されており、先行きが一気に不透明となりました。



その一方で、8両の編成が制約を生んでいることも事実であり、10両への統一自体は今後も進めるのではないかと私は考えています。
2000形や3000形の8両を組み替えて、10両化をするのではないかという声も聞かれますが、車齢等を考慮すると、個人的にはその可能性は低いとみています。
最終的には10両に統一したいとしても、急ぐ理由はそこまでないためです。

8両自体は最終的になくなると考えていますが、読みにくくなった理由の一つとして、今後4両を活用する機会が増えそうという点があげられます。
箱根登山線の小田原から箱根湯本までの区間は、現在も4両が編成単独で運転をしていますが、利用者が今後減少傾向を続けると、他の区間でも4両でよいというパターンが出てきそうだからです。
そうなった場合には、6両と10両の編成にだけ統一をしてしまうと、将来的に苦しくなる可能性もあるため、無理に短期的な効率だけを求めない可能性もあるかもしれません。

小田急が2両の増結編成を保有する可能性は今後も少ないと思いますが、2両単位で増減ができる機器構成とした車両を導入する可能性は否定できないかもしれません。
4両と6両をある程度共用できる状態とすれば、色々と今後の諸問題が解決しそうだなと素人ながらに思ったのですが、実現のハードルがどれぐらいあるのかも気になるところです。

いずれにしても、10両化はある程度の年数をかけて進めるのではないかと思いつつ、4両と6両の扱いには苦慮しそうだなと感じました。
どのような方向性になっているのか、これからの数年の動きで見えてきそうですね。

おわりに

将来的に予測されていた利用者数の減少が、思っていた以上に早く到来したような状況になっている鉄道業界。
様々な部分の見直しが今後行われるでしょうから、考えてもいなかったような展開があるかもしれませんね。