現在は多数派となり、50000形(VSE)の引退後は、その割合が高まることにもなる分割併合が可能な小田急の特急型車両。
利用者が多い区間を10両で運転しつつ、それ以外の区間を4両や6両で運転することで効率を良くしましたが、近年は江ノ島線に向かう列車が少なくなっており、4両を活用する機会が減少しつつありました。

しかし、2022年3月12日のダイヤ変更では、土休日にはこね号とえのしま号を連結した列車が増加し、4両を活用する機会が増加しそうな状況となっています。
分割併合が可能なロマンスカーを、小田急はこれからどのように活用していくのでしょうか。

分割併合ができるロマンスカーの近年

連接車の11両というのが基本パターンとなっていたロマンスカーにおいて、それを壊したのが30000形(EXE)でした。
通勤型車両の最大編成と同様、20m級車体の10両として、小田原方に6両、新宿方に4両を配置し、途中駅で分割併合を行うスタイルとされたのです。

既に1000形で10両固定編成が登場している中で、分割併合が可能な編成としたことには主に二つの意味があります。
一つ目は、小田原で4両を切り離すことで、箱根登山線の箱根湯本まで運転できるようにすること、二つ目は町田や相模大野で分割併合を行い、小田原線と江ノ島線の両方に向かわせることでした。

EXEの登場には賛否両論がありましたが、ロマンスカーを現在のように身近な存在とする立役者であったことは疑いようがなく、その後に登場した60000形(MSE)も同様の構成となりました。
しかし、近年は小田原線と江ノ島線に途中駅で分かれる列車の設定が少なくなり、4両は付属編成に近い存在となっており、昼間は全区間を6両だけで走行する列車が設定され、4両はお昼寝をする機会が多くなっていました。

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快速急行の本数が増えた影響からか、江ノ島線内を日中に走る列車も少なくなっており、4両は若干持て余している印象すらありました。
しかし、2022年3月12日に行われるダイヤの変更では、土休日にはこね号とえのしま号を連結した列車が増加し、4両が活躍するシーンが再び増加することとなりそうです。

4両編成のロマンスカーを活用する方法

ダイヤの変更以降は、えのしま号として活躍する機会が増えそうな4両ですが、これを上手く活用する方法は他にないのでしょうか。

今回のダイヤ変更では、土休日のみでえのしま号の4両が増えていますが、これを今後平日にも拡大する可能性は残されています。
小田急は土休日だけで試してみてから、それを平日にも広げていくことがあり、今回もそうなる可能性は十分ありそうです。
問題は平日の利用者をどこまで取り込めるのかという点なので、その場合には着席サービスの観点だけではなく、新たな需要を掘り起こすようなことも必要となるのでしょう。

4両と6両の走行距離の差をなくすという面では、日中の空いている時間帯に4両で運転する列車を設定するという手も考えられそうです。
さすがに席数が足りなくなるという可能性もありますが、乗車率が低い列車を6両から4両に変更して、6両の負担を減らすのはありかもしれません。

もう一つ考えてみたのが、モーニングウェイ号やホームウェイ号での活用です。
列車密度が高い中で走らせるのは厳しいのかもしれませんが、江ノ島線と多摩線の列車を併結して、新百合ヶ丘で分割併合を行えば、両線の需要に合った列車を走らせることができるようにも思います。
多摩線の場合は、思いきって全駅に停車させてしまうのも面白いかもしれません。

利用者が減少傾向に転じていく中で、追加の収入となるロマンスカーの活用は、今後より一層重要となってきそうです。
様々な試行錯誤を行って、より使われるロマンスカーになると良いですね。

おわりに

柔軟な運用ができるのが強みとなっている、分割併合ができるロマンスカー。
あまり活用できていなかった4両でしたが、それらを活用して増収に繋げられれば良いなと思いました。