敷設可能な区間の100%がロングレール化され、鉄道特有のジョイント音が聞ける場所がほとんどない小田急線。
鉄道が好きな身としては、乗っていて寂しく感じる部分もありますが、騒音の発生を抑制することに繋がっています。

小田急のロングレール化は1970年にスタートしていますが、1982年の時点ではどれぐらいのロングレール化率だったのでしょうか。

ロングレール化を積極的に進めてきた小田急

小田急に乗っていると、レールの継ぎ目から発生するジョイント音がほとんど聞こえてきません。
これはロングレール化によって継ぎ目自体がほとんどないためで、僅かながらそうではない区間も残っているものの、敷設可能な区間は完全にロングレール化されています。

徹底的にロングレール化を進め、全国的にもかなり静かな路線といえそうな小田急ですが、もちろん昔はそんな状態ではなく、地道に進めてきた結果が今ということになります。
昔はどのような状態であったのかが気になり、以前調べてみたことがありましたが、多くの区間は定尺レールのままでした。



1980年代から1990年代にかけては、どんどんロングレール化が進んでいき、2000年代にはジョイント音がほとんど聞けなくなったような記憶があります。
小田急もロングレール化が進んでいることを積極的にアピールしており、広報誌等で進捗状況が書かれていたことを思い出します。

1982年時点のロングレール化率

先日鉄道ピクトリアルの405号を読んでいたところ、ロングレールの敷設状況に関して書かれている記事がありました。
この号は小田急を特集した増刊号で、1980年代の小田急を知ることができる貴重な資料です。

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小田急のロングレール化は、1970年に向ヶ丘遊園から読売ランド前、それに2区間を加えた8.9kmに設置したことが始まりです。
これは試験的な設置だったようですが、当時の技術的な水準を考慮すると、直線部が選ばれたということなのでしょう。

記事には路線ごとのロングレール化率に関する記述もあります。
1982年3月末の時点で、小田原線が42%、江ノ島線が0%、多摩線が81%となっており、小田急全体では34%となっています。
数字だけを見ると、それなりにロングレール化されていたと感じますが、これは当時の技術での率なので、現在の水準にした場合はもう少し低くなるものと思われます。

多摩線が高くなっているのは、建設の段階からロングレールで敷設したことが影響していますが、江ノ島線が0%という状況には驚かされます。
小田原線を優先して進め、江ノ島線に展開したというのが分かりますが、直線区間が多い江ノ島線ですから、ロングレール化前はとても心地良いジョイント音を奏でたのでしょうね。

おわりに

車両の静粛性も高く、乗っていると本当に静かな小田急線。
騒音を抑制するための取り組みは、かなり昔から地道に進められていたことが分かりますね。