藤沢駅を境に運行が分断され、乗り通す場合には基本的に乗り換えが必須となった小田急の江ノ島線。
様々な事情が合わさり、このような運行になったと考えられますが、利便性の面では利用者にとって辛い変更ともいえそうです。

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そして、20分ヘッドのダイヤが基本となっている小田急において、藤沢から片瀬江ノ島までは1時間に5本の運転となっており、藤沢での接続が悪いタイミングも同時に生まれてしまいました。

1時間に5本が運転される江ノ島線の末端区間

2022年3月12日のダイヤ変更以降、江ノ島線の末端区間は各駅停車の折り返し運転となりました。
運行系統は藤沢を境として分断されており、江ノ島線内を通して運転する列車はほとんどなくなっています。



末端区間については、藤沢でほぼ確実に乗り換えが必要となってしまったほか、快速急行との乗り換えをする場合、乗車位置によっては階段の昇り降りが発生してしまいます。
乗車する側が慣れてくる面はあると思いますが、乗り通せなくなる不便さは解消できない部分となりそうです。

今回の分断にはもう一つ課題があり、1時間に5本の運転となってしまったことで、藤沢での接続にも課題を抱えてしまいました。
1時間に6本を運転すれば、藤沢での接続を良くすることが可能となり、分断による利用者のストレスを軽減できますが、そうはなっていないのです。

なぜ1時間に5本となってしまったのか

利便性を下げてまで藤沢での運行を分断した背景には、効率化と駅の改良が関係していると考えられます。
遅かれ早かれ実施されることではあったと考えられますが、利用動向の変化によって早まってしまった面はあるのかもしれません。

まず、効率化という面において、スイッチバックが課題となっていたことは間違いありません。
乗務員の手配、相模大野方面と片瀬江ノ島方面の列車による相互支障等、運転本数が多い現代では扱いにくいものとなっていました。

加えて、藤沢という駅が抱えている課題である、10両が特定のホームにしか停車できないという点も、分断によって解消しようとしている可能性があります。
今回の分断によって、3番ホームと4番ホームを繋いでいるポイントを撤去することができれば、2番ホームを延長し、10両の停車に対応させることができそうなのです。
具体的な動きはまだありませんが、将来的にはそのようなことも狙いにあるのかもしれません。

今回の分断については、効率化がかなり徹底されており、これが1時間に5本の運転にも繋がっています。
それは末端区間を2編成で効率的に運転するためで、1時間に6本を運転しようとした場合、乗務員の段落としを行って停車時間を削るか、3編成を使用して余裕を生む必要があり、やむを得ずこのような運転としたのでしょう。

列車によって藤沢での接続の良し悪しは異なり、1分で乗り継げるようなタイミングもあれば、10分近く待つようなケースもあります。
また、土休日は平日よりも1時間に6本の運転が行われる時間帯が多く、江ノ島という観光地を意識したダイヤを組む苦労が偲ばれます。

今回のダイヤ変更は、苦しい経営状況を少しでも改善するため、利便性を下げてでも効率化を優先した部分が見え隠れします。
状況が改善すれば、末端区間の運転本数を増やす可能性はありますが、どうしても無駄が増えてしまうため、小田急にとっては今後も頭の痛い問題となりそうです。

おわりに

減便を中心としたダイヤの変更により、早くも様々な意見が交わされているのを目にするようになりました。
マイナスの影響は少なからずありますが、苦しい状況が少しずつ改善していくことで、再びダイヤ改正ができる日が訪れることを願っています。