日中は急行の運転がなくなり、運行本数が1時間に6本となってしまった小田急の多摩線。
多摩急行が登場する前と同じ水準になってしまいましたが、新百合ヶ丘を境に種別が変わる列車があることや、10両が走るというような違いもあります。

ダイヤ変更の前と後で、多摩線の利便性はどう変化しているのでしょうか。

日中の運行本数が減少した多摩線

2022年3月12日のダイヤ変更以降、日中を中心に多摩線の運行本数は大きく減少へと転じました。
1時間に3本運転されている急行を多摩線内は各駅停車とし、その分線内を折り返す各駅停車を削減することで、1時間に運転する本数を9本から6本としたものです。
今までは土休日のダイヤでのみ行われていましたが、今回のダイヤ変更では平日にもこれを拡大したことになります。

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多摩線の運行本数が1時間あたり6本となるのは、2002年3月23日に多摩急行が登場する前以来であり、約20年ぶりのこととなります。
運行本数を再度増やす可能性は残っているものの、輸送力を適正化したという点では、現状の最適解といえるのかもしれません。

多摩線の利便性はどう変化したのか

今までよりも運行本数が減ったということは、表面的には利便性が低下したように感じてしまいますが、実際にはどうなのでしょうか。
多摩線内で利用する駅によっても感じ方は異なるため、その点も踏まえて考えてみたいと思います。

まず、各駅停車しか停車しない駅である、五月台、黒川、はるひ野については、利便性が低下するどころか向上しているといえます。
今までは必ず新百合ヶ丘での乗り換えが必要になり、階段の昇り降りも発生していましたが、2本に1本の割合でこれがなくなったことになります。
座ったまま都心に向かうことができる点や、新百合ヶ丘で乗り換えをせずに多摩線内に入ってこられることを考えると、これらの駅についてはプラスの変更といえそうです。

急行の停車駅である、栗平、小田急永山、小田急多摩センター、唐木田についてはどうでしょうか。
着席という面では、ダイヤ変更後の列車でも大きな変化はありませんが、所要時間と乗車機会の面では影響がありそうです。

所要時間については、新百合ヶ丘から唐木田が急行だと12分なのに対して、各駅停車では15分となります。
この3分は人によって感じ方が異なりそうですが、通過する駅がないという点では、体感的な影響は少なからずありそうです。
乗車機会については、多摩線内だけで考えれば減った分だけ少なくなっていますが、新百合ヶ丘での乗り換えにおいては、結局同じ列車となるパターンも多かったため、影響の範囲は限定的といえます。

多摩線は路線の長さが短いため、減便による影響は限定的といえそうです。
駅によってはプラスになっていることを考えると、路線全体としては適正化が図られたといえるかもしれませんね。

おわりに

運行本数は減少しつつも、利便性の面ではマイナス面ばかりではないのが、今回の変更による特徴でした。
ネガティブな面が目立つ今回のダイヤ変更ですが、そんな中でも知恵が絞られているのがなんとなく伝わってきます。