バリアフリー化が進められ、全70駅の全てで改札口からホームまでの段差が解消されている小田急。
ほとんどの駅にエレベーターが設置され、エスカレーターが併設されている駅も多くなっています。

現在のような状況になるまで、地道に進められてきたバリアフリー化ですが、その過程で役目を終えることになった設備もありました。

エレベーターやエスカレーターが設置されている駅

あることが当たり前になりつつあるエレベーターやエスカレーターですが、時代が平成になった頃はないことが当たり前でした。
お年寄りが大変そうに階段を昇り降りしたり、車椅子の方の対応で苦労している様子を見かけたことをよく覚えています。

小田急には現在70の駅がありますが、エレベーターは64駅、エスカレーターは主要駅や高架駅を中心に37駅に設置されています。
エレベーターが設置されていない駅は、栢山、富水、螢田、藤沢、本鵠沼、片瀬江ノ島ですが、藤沢や片瀬江ノ島は頭端式であり、その他の駅は上下線に改札口を設け、隣接する踏切を構内踏切のように使用することでエレベーターを不要としています。

駅構内の移動の面では、かなりバリアフリー化が進められているという印象で、今日に至るまでの苦労が偲ばれます。
広報誌等で、バリアフリー化について積極的にアピールしていたことを思い出し、懐かしい気持ちにもなりました。

バリアフリー化の遺構

現在はバリアフリー化の主役となったエレベーターですが、1990年代においては少々違う対策が行われていたことを思い出します。
それは以下の写真で見られるようなものでした。

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バリアフリー化はまだまだこれからという頃、比較的設置が容易だったことで採用されたのが、このような車いす用のスロープでした。
利用の際には係員を呼び、改札を通らずにホームへと入れる導線になっており、橋上駅舎となっている駅を中心に整備が進められていました。

係員を呼ばなければ使えないことや、フェアスルーシステムとの相性が悪いこと、高齢化社会には対応できないためか、エレベーターの整備が進んだことで使われなくなっていきました。
現在も遺構として残っている場所がありますが、基本的に使用はされていないと思われます。

その他にも、車いす用のリフトや、車いすでの利用に対応したエスカレーター等が整備されていましたが、エレベーターの普及によって使われなくなっていきました。
補助金等によって、エレベーターの導入がしやすくなったということなのだと思いますが、このような遺構を眺めていると、地道な苦労があったことを感じずにはいられません。

おわりに

ハードの面でのバリアフリー化は進んだものの、日本ではソフトの面でのバリアフリー化が遅れているといわれます。
困っている方がいたら手を差し伸べる、それができる人が1人でも増えることが、今の日本にとって最も大切なことなのかもしれませんね。