近年は10両ばかりだった小田急の急行ですが、2022年3月12日のダイヤ変更で6両の列車が多く設定され、再び頻繁に見かけるようになりました。
一部の時間帯では細々と6両の急行が残っていたものの、日中にこれだけ多くの本数が走るのは久し振りのことであり、昔に戻ってしまったようにも感じます。

その一方で、今まで10両で走っていた列車を6両に置き換えたため、以前より混雑するようになったというような意見も散見され、本厚木から先の区間における、ダイヤを組むうえでの難しさも感じられました。

沢山走るようになった6両の急行

ダイヤの変更後、今まで新宿から新松田までを走っていた急行がなくなり、代わりに町田から小田原までを走る急行が設定されました。
急行を運転する区間が変更されただけではなく、両数が10両から6両へと変更されたため、輸送力としては従来より落ちた状態となっています。

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両数を6両へと変更したことには、今まで新松田から小田原までを往復していた各駅停車の廃止が関係しています。
6両の急行は、町田から新松田までを急行として運転し、新松田から小田原までは各駅停車となります。
つまり、新宿から新松田までを結んでいた急行と、末端区間を折り返す各駅停車を一つにまとめ、運転する区間を短縮していることになりますが、新松田から先には6両までしか停車できない駅があるため、急行の両数は6両とされたのです。

10両から6両になったことで、今までよりは確実に混雑するようになっている状態ですが、少し前までは同様の列車が走っていたことを考えると、元に戻されたという表現のほうが正しいのかもしれません。
両数が減ることで、混雑が増すことは分かりきっていたことではありますが、本厚木から先のダイヤを組むにあたっては、難しい事情が色々とあるのも事実です。

本厚木から先のダイヤを組むうえでの難しさ

急行の両数が減らされることになった背景には、利用動向の変化という面以外に、本厚木から先のダイヤを組むうえでの難しさも関係しています。
近年は試行錯誤が繰り返されている印象もあり、小田急も苦労していることがうかがえます。

本厚木から先の区間において、ダイヤを組むことを難しくしている要因としては、以下のようなものがあげられます。

・新宿方面への効率的な折り返し設備(引き上げ線)が本厚木の次は新松田にしかない
・折り返し設備の関係で本厚木を境として本数を減らさなければいけない
・本厚木から新松田までは特急以外の通過運転が難しい
・伊勢原と秦野で折り返す場合には逆線発車となってしまう
・小田原方面への効率的な折り返し設備が新松田にない
・栢山から足柄までの各駅はホームが6両分しかない
・箱根登山線内は特急以外が4両までしか運転できない

文字ばかりが並び、理解するのには少し時間がかかってしまうかもしれません。
これらをまとめると、折り返し設備に制約があることで、本厚木を境として利用者数の比率以上に本数を減らす必要がある中、区間によって運転できる両数も異なるため、どうしてもどこかに無理が生じてしまう状態となっているのです。

これらの諸問題を比較的上手に解決していたのが、かつて新松田で行われていた分割併合だったようにも思います。
しかし、10両固定編成が主力となる中では、4両と6両を併結した10両でしか運転できなくなる制約を設けることは難しいでしょう。

混雑が増すという問題はあるものの、効率という面では6両の急行を運転することが最適解なのかもしれません。
現実的な解決策としては、栢山から足柄までの駅のホームを延長し、8両や10両に対応させてしまうのがよいのかもしれませんね。

おわりに

趣味的な面では興味深い復活となった、小田原線を走る6両の急行。
利用者にとっては歓迎できるものではなさそうですが、本厚木から先の区間での最善策を見つけることは容易ではないようです。