季節が冬から春へと移り、小田急で空調が動作している車両に乗る機会が増えてきました。
これからは夏に向かって暑くなるばかりですが、同時に車内でにおい等を不快に感じる機会も多いのではないのでしょうか。

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最近は聞かなくなりましたが、かつて小田急ではフィトンチッドを使用した車内の消臭対策を行っており、電車に乗ると薄っすらとした香りを感じることがありました。

フィトンチッドを使用した消臭対策

密閉空間となる鉄道車両の中は、乗客が多くなることと比例して、どうしても不快に感じる機会が増加します。
湿度が高くて暑い夏場はより一層顕著で、梅雨の時期は相当辛い状況になることもあり、満員電車で気分が悪くなるような経験をされた方も多いのではないでしょうか。

そのような状況を改善しようと、小田急では消臭とリラックス効果を目的として、微生物の活動を抑制する作用をもっている、フィトンチッドというものを車内に導入していました。
当時病院やホテル等での導入例はあったようですが、鉄道車両での導入は珍しいものだったと記憶しています。

小田急も導入には慎重な姿勢で、2001年の7月から9月頃まで全ての通勤型車両に設置して試験を行い、その後はアンケート等を行って本格導入の検討が進められました。
試験中は常に全ての車両にあるような状態ではなかったような記憶がありますが、明らかに違うなと感じる車両に乗ったことを覚えています。
幸い導入には賛成意見が多かったようで、2002年以降も継続することとなりました。

薄っすらとした香りを感じた小田急の車内

肯定的な意見が多かったフィトンチッドは、2002年以降の6月から9月頃にかけて使用されました。
最初からだったのか、途中から変わったのかは覚えていませんが、偶数号車にだけ設置されるように運用が変更され、車両によって設置の有無がありました。

フィトンチッドは、空調機器内にカートリッジが設置されており、空調の動作に合わせて成分が車内に流れてくるようになっていました。
車内に入ると薄っすらとした香りを感じましたが、しばらく乗っていると慣れて感じなくなる、その程度に調整されていたようです。
当然香りが嫌だという方もいるため、奇数号車には設置しないという運用になったのでしょう。

小田急もフィトンチッドの使用を積極的に広報しており、私自身も香りを含めて好きだったので、昔は偶数号車を好んで利用していました。
夏場だけの設置ではありましたが、車内の空気がなんとなく違うなと感じたことはよく覚えています。

しかし、2010年より後だったと思いますが、いつの間にかフィトンチッドの設置は行われなくなってしまいました。
なぜやめてしまったのかは不明ですが、個人的には気に入っていたので、いつか復活しないかなと思うこともあります。

おわりに

いつの間にか姿を消してしまった、小田急の車両に設置されていたフィトンチッド。
小田急における夏の風物詩のようにもなっていましたが、ひっそりと終わってしまったのが少し寂しいですね。