鉄道を利用していると、現場で働く方々を目にする機会は多いのではないでしょうか。
乗務員や駅員の方々はもちろんのこと、線路や設備を点検する方々をはじめ、多くの方が鉄道というインフラを支えています。

小田急もそれは例外ではありませんが、運転士や車掌といった乗務員の方は、普段から利用者に近い存在であるといえます。
その乗務員の方々を見ていると、制服が2種類あることに気付きますが、それはなぜなのでしょうか。

2018年3月に行われた制服のリニューアル

現在、小田急の乗務員が着用している制服には、グレーを基調とした通常のものと、ロマンスカー専用のベージュを基調にしたものの2種類があります。
乗務員によって着用している制服が異なるのは、これらの2種類が存在していることが理由です。

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現在の制服は2018年3月に導入されたもので、12年ぶりのリニューアルでした。
このタイミングの小田急に何があったのかといえば、長年に渡って進められてきた複々線化が完了し、それに合わせたダイヤ改正が実施されたのが3月17日であり、制服のリニューアルもセットで行われたものです。

そして、もう一つのトピックスとして、このダイヤ改正に合わせて70000形(GSE)の運行も開始されました。
ロマンスカー専用の制服が導入されたのもこれに合わせたもので、様々な面からダイヤ改正を盛り上げる取り組みが行われました。

ロマンスカー専用の制服

2018年のリニューアルに合わせて導入されたロマンスカー用の制服ですが、それ以前にも50000形(VSE)専用の制服が導入されていました。
これはVSEのデザインを担当した岡部憲明氏の提案によるもので、狭い運転室内を動きやすくする工夫が施されており、現在の制服にも通じる暖色系のものでした。

現在使われているロマンスカー専用の制服は、ファッションデザイナーの小篠ゆま氏がデザインしたもので、バーミリオンオレンジを取り入れていることが特徴となっています。
プロフェッショナル感を与えられるような制服に仕上げられたようですが、利用者目線でも確かにそのような印象を受けます。

さて、このロマンスカー専用の制服ですが、通勤型車両の乗務員が着用している場合もあります。
これは1日の乗務がロマンスカーに限定されておらず、ロマンスカー以外にも乗務する必要があるためで、車両を乗り換える際に都度着替えることは難しく、このような現象が発生しています。
通勤型車両にベージュの制服を着た方が乗務していたら、特急も担当できる方ということになります。

最近は逆のパターンもたまに見かけるようになっており、ロマンスカーにグレーの制服で乗務するケースもあるようです。
何か事情があるのでしょうが、そんな珍しいパターンとの遭遇も興味深いものですね。

おわりに

複々線化の完了とGSEの導入に合わせて導入された現在の制服。
どちらの制服にも違った魅力があり、それらの違いを楽しめるのも小田急の良さかもしれませんね。