定期運用があるロマンスカーの中で、最新の車両となっているのが、2018年に営業運転を開始した70000形(GSE)です。
7000形(LSE)の置き換え用として登場した車両で、前面展望席を備えた観光需要にも対応できる車両となっています。

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現在は2編成が活躍している70000形ですが、追加で増備される可能性はあるのでしょうか。

2編成が活躍する70000形

赤のようにも、オレンジのようにも見える車体色、ローズバーミリオンに塗られた70000形は、2018年3月17日に営業運転を開始しました。
この時点では1編成のみが在籍しており、7000形(LSE)との共演も見られましたが、追うように2編成目が登場し、夏には7000形の残った編成と交代することとなりました。

その後は50000形(VSE)と合わせた4編成で、主に観光輸送の主役として活躍してきましたが、先日50000形が定期運行を終えたことで、前面展望席を備える車両としては、唯一定期運用を持つ車両となりました。
3100形(NSE)が登場して以降、前面展望席を備える車両が2編成まで減ったことはなく、臨時列車で50000形が走る姿は見られるものの、少々寂しい状態となっています。

50000形の減少分は、30000形(EXE)の未更新車が務めていると考えられますが、仮にこの2編成が更新を行わない場合、そう遠くない将来に代替車両が必要となることが想定されます。
見方を変えれば、現状はロマンスカーの保有車両数がギリギリの状態に近いため、30000形を更新するための余裕がないともいえます。

70000形を追加で増備する可能性

前面展望席を備えながらも、70000形は観光と日常利用に対応しやすいことが特徴の車両です。
良くいえば使いやすい車両、悪くいえば少し面白みに欠ける車両ですが、その完成度はとても高いといえるでしょう。

仮に30000形の置き換えが発生する場合、その選択肢は二通りだと考えられ、70000形を追加で増備するか、思いきって新形式を投入するか、そのどちらかになる可能性が高いといえます。
バランスという面で70000形の完成度は高く、50000形が抜けた穴を無難に埋めることも可能です。

70000形が追加で増備される可能性を考えるうえでは、過去の車両たちがどのように増備されたのかが参考になります。
しかし、増備の期間が長期に渡ったり、数年後に増備された事例というのは、実際のところほぼありません。
唯一の例外となるのが60000形(MSE)で、増備の期間が長く、連続して増備されていないケースとなります。

60000形は2007年度に最初のグループが登場した後、2009年度、2012年度、2015年度に追加の増備が行われました。
ロマンスカーとして、増備の期間が8年間もあるのは歴代最長であり、断続的に増備が行われたのも初めてのケースです。

これらのことを考えた場合、可能性としては半々程度になるのではないか、それが私の見解となります。
経営の効率を最優先するのであれば、置き換えが遠くない未来のことであるほど、70000形の追加増備で解決する可能性が高くなりそうです。
その一方で、置き換えまでまだ年数があり、ロマンスカーのブランディングを優先する余力が出てきていれば、新たな形式とする可能性が高くなるのではないでしょうか。

キーワードは時期と状況、この二つであると見ています。
ある程度の時期は決まっているのでしょうし、既に方針も定まっているかもしれませんが、どちらになるのかはとても興味深いところです。

おわりに

60000形が比較的特殊なケースであるため、実際には新形式となる可能性のほうが若干高いかもしれません。
気持ちの面でも、ロマンスカーの新しい時代を築くような新形式が登場することを、どこか期待してしまうのは私だけでしょうか。