鉄道と身近に触れ合える場所といえば駅ですが、もう一つはどこかと聞かれたら、それは踏切なのかもしれません。
線路を渡るという面では唯一に近い場所でもありますが、なかなか開かない踏切がある等、様々な課題も抱えています。

20190714_04

小田急にある踏切は、全てに遮断機が設置されている状況ですが、そうなったのはいつのことだったのでしょうか。

安全性の向上が続く小田急の踏切

小田急には、合計で229ヶ所の踏切が現在も存在します。
複々線化によって立体化が進められたことや、一部の区間で高架化が行われたことで、昔に比べてその数はかなり減少しています。

人や自動車と鉄道が交わる踏切は、その特性上どうしても事故が発生しやすく、安全性を追求した究極のパターンが立体化であり、物理的に導線を分ける取り組みが進められています。
しかし、費用も時間もかかる立体化は簡単ではなく、踏切自体の安全性を高める取り組みも行われています。

踏切の安全性を高めるために、小田急の全ての踏切に設置されているものとしては、踏切支障報知装置があります。
ボタンを押すと、特殊信号発光機が接近する列車に異常を知らせて緊急停止させるもので、非常ボタンと書かれた目立つものがそれです。
押すのには勇気がいりますが、緊急時は迷わず押すことが大切です。

137ヶ所の踏切に設置されているものとしては、踏切障害物検知装置というものもあります。
赤外線によって踏切内の障害物を検知するもので、障害物を検知した際には付近の列車を自動的に緊急停止させます。

このように様々な機器を組み合わせて踏切の安全性は高められていますが、それでも時折事故が発生しているのが実情であり、根本的には立体化が最善の策であることは間違いないようです。

小田急から遮断機がない踏切が消えた日

今の小田急からは想像ができませんが、かつては遮断機がないような踏切も沢山設置されていました。
踏切自体の数が減らされたというのもありますが、年々踏切の設備が強化されたことで、最終的には全ての踏切に遮断機が設置された状態となっています。

踏切にはいくつかの種類があり、現在の主流となっている警報機と遮断機が設置されている踏切は、第1種と分類されるものです。
細かくはもう少し種類がありますが、他に多いものとしては警報機のみが設置されている第3種、警報機も遮断機もない第4種があります。

1955年の小田急には、第4種踏切が390ヶ所も存在していました。
圧倒的に多数派でしたが、1960年以降で急速に数を減らし、1973年5月に消滅しました。
9000形が登場したのが1972年のことですから、その頃までこのような踏切があったことになります。

その後も警報機のみが設置されている第3種踏切が残っていましたが、こちらは第4種踏切がなくなった頃から減少が加速します。
1982年11月8日に第3種踏切も小田急からはなくなり、全ての踏切に警報機と遮断機がある状態となりました。
僅かな期間ながら、7000形(LSE)は小田急線内で第3種踏切を通過したことがあったということになりますね。

おわりに

1982年以降、全ての踏切に警報機と遮断機が設置されている状態となった小田急線ですが、乗り入れ先の箱根登山線内には現在も第4種踏切が残っています。
そんな踏切をゆっくりと通過する小田急の車両を眺めてみるのも、たまには面白いかもしれませんね。